2018 Fiscal Year Annual Research Report
Detoxification of aldehyde-conjugation as a new mechanism for preventing onset of Parkinson's disease
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18H02443
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
松田 憲之 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, プロジェクトリーダー (10332272)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | DJ-1 / アルデヒド / 加水分解酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
DJ-1は潜性遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子であるが、その分子機能は未だ謎に包まれている。研究代表者はDJ-1が「チオールと結合した内在性アルデヒド:メチルグリオキサール(MGO)の加水分解酵素である」ことを報告したが(松田ら、Sci. Rep. 2017)、DJ-1がMGO以外のアルデヒドに対して作用するかどうかは不明であり、また想定反応産物が実際に産生されていることを確認した仕事も殆ど存在しない。そこで実験計画書に記載した通りにNMRを用いた解析を試みた。 重水リン酸Buffer中でMGOを野生型DJ-1あるいは不活性型DJ-1変異体(C106S)と反応させた後に、NMR装置を用いて1Hスペクトルを測定した。すると野生型DJ-1と反応させた時にのみMGOの化学シフトのパターンが大きく変化した。MGOと同様のα-oxoaldehydeであるグリオキサール(GO)を野生型DJ-1と反応させた際にも化学シフトのパターン変化が観察されたが、グリセルアルデヒド・ギ酸・グリオキシル酸などの他のアルデヒドをDJ-1と反応させても、パターン変化は観察されなかった。MGOやGOにDJ-1が作用すると、MGOから乳酸が、GOからグリコール酸が産生すると予想される。そこで、MGOとDJ-1の反応後産物と乳酸を、あるいはGOとDJ-1の反応後産物とグリコール酸を、比較したところ、両者の化学シフトパターンは良く一致した。類似するα-ケト酸としてピルビン酸とGlyoxylic acidをDJ-1と反応させても、化学シフトのパターン変化は全く観察されなかった。上記の実験から、(1)DJ-1はアルデヒドの中でもα-oxoaldehydeを基質にすること、(2)α-ケト酸とは反応しないこと、(3)DJ-1が作用した後の最終産物はα-hydroxy acidであること、が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画書に記載した「NMRを用いて、他のアルデヒドに対するDJ-1の作用を検討するとともに、DJ-1の反応様式を解析し、最終的には本研究を通じてDJ-1の新規基質の同定を目指す」に関しては、研究は比較的順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
NMRを用いた解析については当初予定通りに進めていくとともに、ショウジョウバエを用いた遺伝学的な解析については苦労している部分もあるので、専門家に意見を聞きながら研究を進めていく。
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Research Products
(14 results)