2019 Fiscal Year Annual Research Report
Detoxification of aldehyde-conjugation as a new mechanism for preventing onset of Parkinson's disease
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18H02443
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
松田 憲之 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, プロジェクトリーダー (10332272)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | DJ-1 / アルデヒド / グリオキサール / メチルグリオキサール / Thermal shift assay / パーキンソン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
DJ-1は潜性遺伝性パーキンソン病PARK7の原因遺伝子であるが、その分子機能は謎に包まれている。研究代表者はDJ-1が「チオールと結合した内在性アルデヒド:メチルグリオキサール(MGO)の加水分解酵素である」ことを報告したが、DJ-1がMGO以外の基質を有するかどうかは不明である。 既に、理化学研究所の林文晶博士・松上明正博士のご協力のもと、理化学研究所のNMR施設を利用して、実験計画書に記載したような解析を行っていた。つまり、重水リン酸Buffer中で、α-oxoaldehydeであるメチルグリオキサール(MGO)やグリオキサール(GO)を野生型DJ-1と反応させると、化学シフトのパターン変化が観察された。一方で、それ以外の様々なアルデヒドをDJ-1と反応させても、化学シフトのパターン変化は観察されなかった。理化学研究所の高性能NMR装置を用いてさらなる解析を進めることを考えていたが、新型コロナウイルス蔓延の兆しがあり、NMR実験は困難となることが予想された。そこで、所属の都医学研の中で完結できるDJ-1の研究体制の構築を試みた。まず、DJ-1によるAldehydeの加水反応を簡便に測定する実験系の構築を試みて、基質としてphenyl基を有するα-oxoaldehyde(フェニルグリオキサール)を用いると、その加水反応が吸光度変化として容易かつ速やかに追跡できることを確認した。さらに、DJ-1の基質やその関連物質がDJ-1と結合してその物理的特性を変える可能性を考えて、thermal shift assayを用いてDJ-1の基質(あるいは基質類似物)を検討することにした。その結果、予備的な実験結果として、Thermal shift assayにおけるDJ-1の変性温度(64℃付近)の変化として、低分子化合物とDJ-1の結合を検討できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NMRを用いたDJ-1の解析は「理化学研究所のNMR施設を訪問して、理化学研究所の林文晶博士・松上明正博士の立ち合いのもとで測定を進める」という研究体制であった。しかしながら、新型コロナウイルスの蔓延の予兆があり、実験計画書に記載した「NMRを用いて、他のアルデヒドに対するDJ-1の作用を検討するとともに、DJ-1の反応様式を解析する」計画は実施困難となることが予想されて、善後策を考える必要が生じた。しかしながら、基質としてフェニルグリオキサールを用いることや、DJ-1と低分子化合物の結合をThermal shift assayを用いて検出することを試みることで、都医学研の中で完結できるDJ-1の研究体制の構築が進みつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は、DJ-1がMethylglyoxal(MGO), Glyoxal(GO), Phenylglyoxal(PGO)などのアルデヒドを加水変換する酵素活性を持つことを見出しており、基質となるアルデヒドはDJ-1に結合することが予想される。コロナ禍で他施設のNMRを用いた研究が困難になりつつある現状で、代替の解析手法として、DJ-1の基質やその関連物質がDJ-1と結合することで、その物理的性質を変える可能性を考えた。DJ-1の基質、基質の類似物質、最終産物、最終産物の類似物質を添加してサーマルシフトアッセイを行ったところ、予備的な実験結果として、野生型のDJ-1タンパク質の変性温度が64℃付近であるのに対して、基質類似物質を添加した場合に変性温度が66.5℃付近と約2.5℃高くなることを発見した。今後は、様々な低分子化合物をDJ-1と反応させた後にサーマルシフトアッセイで解析し、DJ-1タンパク質と基質の結合を検出できるかどうかを検討する。
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Research Products
(11 results)