2020 Fiscal Year Annual Research Report
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18H02445
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
齋藤 大介 九州大学, 理学研究院, 教授 (90403360)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 始原生殖細胞 / PGC / ニワトリ胚 / 移動 / 血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は計画通り、「胚体外での生殖細胞の移動機構」を明らかにするべく、ニワトリ胚とその始原生殖細胞を材料として研究を進めた。 ニワトリPGCがどのようにして血管内に侵入するかを明らかにするために、血管内皮細胞がEYFPでラベルされたトランスジェニックウズラ胚において、血管内皮細胞の有効な抗体(QH1)とPGCに対する抗体(anti-DDX4)を用いた免疫染色を行なった。興味深いことに、始めPGCが存在する生殖三日月環には、分化した血管内皮細胞がほとんど存在しなかった。しかしながらその後、へマンジオブラストから分化した血管内皮細胞が個々に出現し、それらがPGCを「貪食する」ようにして取り込むことが初めて明らかになった。その後、PGCを取り込んだそれぞれの内皮細胞は内皮細胞同士で集合し、コード、血管チューブを形成していった。PGCはその過程で、血管の中へと存在場を移されていた。この極めて新規の形態形成についてはDevelopmental Dynamics誌に報告した。 ニワトリPGCが血管内をどのように移動するかを明らかにするために、CXCR4-SDF1シグナルに注目し、その解析を進めた。ドミナントネガティブ型のCXCR4を発現させたPGCを2.5日ニワトリ胚の血管内に移植して挙動を追ったところ、興味深いことに、本来到達する生殖腺付近の血管領域ではなく、胚体外血管領域に局在することが明らかとなった。次年度はこの詳細な細胞分子機構について明らかにする。 生殖腺までたどり着けなかったPGCの運命を解析する目的で、EGFPラベルを行なったPGCを2.5日ニワトリ胚血管(PGCの移動路)へ移植し、その後の胚内分布を解析した。生殖腺にたどり着かないPGCは各所で散見されたが、特に頭部、及び腸間膜に多く認められた。今後、これらのPGCがどのように変化するのかについて詳細に解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トランスジェニックウズラの利用によって、PGC血管侵入機構の理解が大幅に進み、論文報告の結果に結びついた。 また、PGCの血管内移動についてもCXCR4の新たな機能が見出されつつあり、また異所的PGCの位置の特定もできたことなど、進捗状況は順調である。「始原生殖細胞の胚内移動機構」の理解に近づくことが想定よりも早くできていると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
血流内のPGCは、血流に流されることで受動的に移動しているものであり、CXCR4シグナルを使ったケモアトラクションは使用していないと予想していた。しかしながら、CXCR4の機能を阻害したPGCは胚体外に分布していた。このことは、PGCが血管内を流れて移動する際においても、CXCR4を利用しているということを示す。次の目的は、CXCR4の作用機序の特定である。血流中を流れているPGCのムービー解析から、CXCR4の機能を阻害すると胚体外血管へ接着するように見える。CXCR4の阻害により接着因子に変化が生じている可能性を考えている。そこで、正常なPGCとCXCR4を阻害したPGCを比較してのRNAseq. 及びプロテオーム解析を行い、責任因子候補を探る。責任因子候補が絞れたならばその因子の機能解析を進めていく。 異所的PGCの性質を解析する。現在、E5の段階において、移植したPGCが腸間膜に存在し、生殖細胞マーカーDDX4、幹細胞マーカーNanogを発現していることを見出している。この状態がいつまで続くのかあるいは変化するかについて、より発生の進んだ胚の腸間膜をサンプリングして解析する。大きな変化が生じた場合(体細胞化など)、その細胞をサンプリングし、RNA seq.解析を行い、状態の変化についてより詳細な情報抽出を行う。
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Research Products
(2 results)