2019 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of spatial distribution of Wnt in developing neural tube
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18H02454
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Research Institution | Center for Novel Science Initatives, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
高田 慎治 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 教授 (60206753)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 細胞 / シグナル伝達 / 発生・分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
発生におけるWntの機能を理解するためには、その時空間的挙動の把握が必要であると考え、研究代表者らは、マウス胚の神経管の背側領域で局所的に発現するWnt3aの時空間的挙動を詳細に解析してきた。その結果、従来考えられている単純な拡散に加え、細胞の局所にWnt3aが局在化することを見出してきた。本研究では、このように局在化するWntの機能と作用機構および局在化のしくみを明らかにすることを目的とする。 局在化するWntの機能と作用機構については、昨年度までの研究から、Wnt/b-catenin経路の中心的因子であるb-cateninの恒常的活性化体を蓋板特異的Wnt cKOマウスに発現させても、蓋板細胞の形態異常が回復しないことを明らかにした。そこで、蓋板細胞の変化がWnt/b-catenin経路を介した転写の活性化に依らない可能性を考え、蓋板細胞における細胞骨格関連タンパク質の局在や修飾を検討した。そのために、胚を横断面から観察するだけでなく、神経管の内腔側から蓋板細胞の頂端側を観察ことも合わせて試みた。その結果、野生型胚ではWntが蓋板細胞の頂端側に集積する時期に、この細胞の頂端側が特異的に収縮すること、及びこの収縮とともにある種の細胞骨格系因子が活性化することが観察された。それに対して、蓋板特異的Wnt cKOマウス胚では、頂端側が十分に収縮せず、細胞骨格系因子の変化も著しく低下していた。以上のことから、頂端側に集積するWntが細胞骨格系の制御に直接関与する可能性が示唆された。 頂端側が収縮した後に、蓋板細胞が背腹方向に伸展するが、そのプロセスにもWntが関わる。この過程におけるWntと細胞骨格系の関連を検討するために、Ezrinノックアウト胚の作成を昨年度より進めてきた。ノックアウトマウスの樹立には成功し、ノックアウト胚における蓋板細胞の表現型についての解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
蓋板細胞の頂端側にWntが局在化することの意義について、当初には想定していなかったような細胞の頂端収縮との関連性が明確になった。また、当初の計画では、蓋板細胞におけるWntの局在化と細胞骨格系の関係を調べるために、Ezrinノックダウンマウスを用いる予定であったが、表現型の解釈の曖昧さをさけるために、ゲノム編集を用いたノックアウトマウスへと方向転換し、短期間に解析を進めつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
蓋板細胞の頂端収縮において、Wntの頂端側への局在化が収縮に結びつく分子機構を明らかにしていく。それとともに、蓋板細胞の伸展におけるWntの機能をEzriniに注目しながら明らかにしていく。
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Research Products
(18 results)