2020 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞の低温感知部位の解明:低温センサー蛋白質フォトトロピンの細胞内局在
Project/Area Number |
18H02455
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
児玉 豊 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 教授 (00455213)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | フォトトロピン |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度には、昨年度までにアガートラップ法(アグロバクテリウムを用いた簡便なゼニゴケ形質転換法)によって作出した細胞質型PHOT-Citrine系統を用いて、低温誘導性の葉緑体運動(寒冷逃避反応)を継続して解析した。また、細胞質型PHOTに細胞内局在化配列(細胞膜局在や葉緑体周囲局在)を付加した細胞内局在改変PHOTと蛍光タンパク質Citrineとの融合タンパク質を発現するプラスミドを構築し、アガートラップ法によってphot変異体ゼニゴケへ形質転換した。これまで得られた複数の遺伝子組換えゼニゴケ系統を材料に、共焦点レーザー顕微鏡を用いてCitrine蛍光の局在を観察したところ、細胞内局在改変PHOT-Citrineは予測通りの局在性を示した。また、これらの系統を用いて寒冷逃避反応を解析し、低温を認識しているPHOTの局在箇所を明らかにした。 PHOTの細胞膜局在化機構の普遍性についても解析した。本研究で明らかにしたPHOTの細胞膜局在化に関わるアミノ酸配列は、PHOTに類似のタンパク質群で保存されていることがわかった。いくつかのタンパク質に点変異を導入したところ、細胞膜局在性が失われた。この結果は、PHOTが有している細胞膜局在化機構が他のタンパク質でも保存されている可能性を示している。 また上記の実験を実施する過程で、遺伝子組換えゼニゴケの数が増加し、これの維持管理作業が必要となった。そこで、この作業を軽減するため、ゼニゴケ無性芽の冷凍保存する簡便な方法を開発した(Takahashi and Kodama, PeerJ 2020)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画に加えて、PHOTの細胞膜局在化機構の普遍性についても明らかにし、さらには研究を円滑に進めるためにゼニゴケ無性芽の簡便な冷凍保存法を確立しており、当初の計画以上に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
PHOTの細胞膜局在化機構について更に詳細な解析を行う。また、PHOTの低温感知が植物細胞の低温認識(寒冷逃避反応)を起こすまでの過程を詳細に解析する。
|
Research Products
(5 results)