2018 Fiscal Year Annual Research Report
階層縦断的に機能するエピジェネティックバイオタイマーの仕組みの理解
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18H02465
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山口 暢俊 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (90767899)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
4つの花器官は全て花幹細胞から作られる。花幹細胞は細胞分裂により細胞を一定数供給すると、その増殖を停止して分化を開始する。シロイヌナズナでは、AGAMOUS (AG)タンパク質がKNUCKLES (KNU)を転写して、花幹細胞の増殖を停止する。AGは発現するとH3K27me3を導入・維持するポリコーム複合体を排除し、即座にKNU遺伝子座に結合する。細胞周期の進行を経ることでH3K27me3の量が減少し、時間差を持ってKNUが発現する。先行研究でのレポーター解析より、H3K27me3が導入される遺伝子領域を増やすと、KNUの発現は遅延し、その量も減ることが示唆されていた。しかし、1)その効果は定量されていなかった。またその発現変化が、2) H3K27me3の働きに依存するのかも不明だった。本年度は、これら2つの課題に取り組んだ。 1) pKNU::KNU-GUSと比べて、H3K27me3が導入されるdel領域を6つ(pKNU::KNU-GUS +6del)増やすと、GUSの発現が下がっていた。RT-PCRとMUG Assayより、pKNU::KNU-GUS +6del ではGUSの発現の有意な減少が確認できた。 2) pKNU::KNU-GUS +6del における遺伝子発現量の減少がH3K27me3に依存するのかを調べるため、ChIPアッセイを行った。pKNU::KNU-GUS +6delではpKNU::KNU-GUSと比較してH3K27me3の蓄積量が増加していた。そのため、pKNU::KNU-GUS +6del における遺伝子発現の減少はH3K27me3の増加が原因であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備データの再現性まで確認し、研究の基本となる重要なデータを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究でのレポーター解析より、H3K27me3が導入される遺伝子領域を増やすと、KNUの発現は遅延し、その量も減ることが示唆されていた。しかし、1) ポリコーム複合体・2) 細胞周期の働きに依存するのかは不明のままである。今後はこの2課題に取り組む
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Research Products
(5 results)