2020 Fiscal Year Annual Research Report
階層縦断的に機能するエピジェネティックバイオタイマーの仕組みの理解
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18H02465
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山口 暢俊 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (90767899)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シロイヌナズナ / 花発生 / エピゲノム / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は花の発生ステージの同調系と細胞周期の進行阻害剤を用いて、RNA-seqとChIP-seqを行った。遺伝子発現の変化を引き起こすAGを特定の花の発生ステージで誘導できる系と細胞周期の進行阻害剤を用いて、発生時間特異的にエピジェネティックバイオタイマーに制御される発現変動遺伝子を網羅的に同定した。発生時期特異的なAGの結合とヒストン修飾パターンも発生ステージの同調系を用いて解析し、エピゲノムと遺伝子発現の対応を定量的に記述した。さらに、PRC2の構成因子であるCLF、FIE、EMF2の結合も調べた。これらの条件をすべて満たす同定された重要遺伝子のうち、10遺伝子についてはレポーターを用いて空間的な遺伝子発現情報も取得し、時間情報と位置情報の紐付けを行なった。 TGA9、STY1については空間的な遺伝子の発現解析をGUSレポーターによって発現の確認を終了した。どちらの遺伝子も、AGの働きに依存して発現すること、PRC2の構成因子が結合することを確認できた。STY1はステージ6の心皮で、TGA9はステージ8のおしべで発現を開始することを明らかにした。またその発現がAGの機能に依存することも突き止めた。そのため、これらの遺伝子については、エピジェネティックバイオタイマーに制御される遺伝子であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNA-seqとChIP-seqの解析を順調に進め、発生時間特異的にエピジェネティックバイオタイマーに制御される発現変動遺伝子を網羅的に同定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はKNUとの挙動を比較しながら、エピジェネティックバイオタイマーに制御される遺伝子の共通性と独自性を理解する研究を行う。KNUで行なった実験と同様の実験により、STY1やTGA9遺伝子がバイオタイマーで制御される分子メカニズムを明らかにする。
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