2019 Fiscal Year Annual Research Report
Novel mechanism of microtubule-chromosome interaction in cell division
Project/Area Number |
18H02471
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
村田 隆 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 准教授 (00242024)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 微小管 / 紡錘体 / 核膜 / イメージング / 植物細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物細胞の分裂において、中心体は紡錘体微小管の形成と染色体の捕捉、配列に重要な役割を持つ。植物細胞では中心体なしに紡錘体ができるが、どのようにして微小管が生じ染色体が捕捉され配列するかはわかっていない。本年度は3標識ライブイメージングにより核膜、微小管、染色体の挙動、超解像技術により微小管と染色体の相互作用を可視化することに成功した。 核膜をmCitrine、染色体をmCherry、微小管をmEGFPで標識したタバコ培養細胞を作成し、2光子スピニングディスク共焦点顕微鏡とアンミキシングを組み合わせて紡錘体形成時の動態を調べたところ、断片化した核膜は核膜崩壊後も紡錘体領域を取り囲んでいることがわかった。さらに、微小管をmScarlet-iとmsGFPで2重標識し、核膜をmCherryで標識した3重標識細胞を用いて光退色実験を行い、微小管の重合脱重合の頻度を解析したところ、核膜の内側で微小管重合が促進されるため微小管分布が核膜内側に移行することが分かった。核膜、動原体、微小管の3重標識細胞で微小管形成部位を調べたところ、動原体周囲から生じる微小管は検出できなかったため、重合促進には染色体による微小管誘導は関与していないと考えられた。現在、紡錘体領域にチューブリンが濃縮する可能性を検証中である。 核膜崩壊直後には多くの動原体は核膜近傍に局在する一方、微小管は動原体より内側で重合するため、動原体が紡錘体領域の外側、微小管が内側に配置する。動原体がどのように赤道面に配置するかを調べるため、共焦点顕微鏡のピンホールを絞る超解像技術により動原体と微小管の相互作用を調べた。染色体上の動原体ペアの片側に微小管が結合した状態で染色体は別の微小管上を滑るように動くことが分かった。この結果は動原体微小管のバランスによる染色体が配列するのとは違ったメカニズムで染色体が配列することを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では紡錘体微小管の形成機構について染色体誘導と微小管依存の2つのメカニズムを想定していた。染色体の配列機構についても核膜の染色体保持機構を想定していた。本年度の結果はこれらの想定と違った意外な発見である。当初の想定以上に多標識、3Dタイムラプス、超解像技術がもたらしたものは大きかった。 本研究計画がスタートしたのと同時期に動物細胞の紡錘体形成に新しい概念が導入された。紡錘体形成は中心体、微小管、染色体の相互作用で説明されていたが、”spindle matrix”の概念が導入され、紡錘体領域に液液相分離により単量体チューブリンが濃縮されると考えられるようになった。動物と植物は独立に開放型核分裂(核膜が崩壊する核分裂)を進化させたため、植物にも類似のチューブリン濃縮が起こるかどうかが新たな疑問になった。今年度の研究成果は植物でも紡錘体領域の性質は細胞質と異なることを示しているため、当該分野の最新の研究の流れに対応している。 染色体の配列機構についても新しい発見があった。微小管が染色体を捕捉した後の微小管と染色体を可視化することは当初困難と想定されていたが、超解像技術により可能となった。結果として微小管上を動原体―微小管複合体が滑ることを発見した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度に発見した現象の分子機構を解明するための実験を行う。 紡錘体微小管形成については、紡錘体領域に単量体チューブリン濃縮が起こっていることを証明するために、細胞を微小管阻害剤で処理して細胞質と断片化核膜内部でチューブリン濃度に違いがあるかを調べる。さらに、液液相分離を検証するために単量体チューブリンの拡散速度を蛍光相関顕微鏡法(FCS)で調べる。 染色体の配列についてはシロイヌナズナのキネシン5の変異体の報告からキネシン5の関与が想定されるので、タバコキネシン5のクローニングとRNAiを行い滑りに関与するキネシンを同定する。
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Research Products
(3 results)