2020 Fiscal Year Annual Research Report
Novel mechanism of microtubule-chromosome interaction in cell division
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18H02471
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
村田 隆 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 教授 (00242024)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 微小管 / 紡錘体 / 植物細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究成果により、核膜崩壊後も断片化した核膜は染色体領域と細胞質領域の境界に存在し、微小管重合は染色体領域で起こることが分かった。 近年の動物細胞の研究により、紡錘体微小管の存在する領域は、”spindle matrix”と呼ばれる領域として細胞質と分かれていて、液液相分離により単量体チューブリンの集積を促進する因子が集まっていることが提唱されている。動物細胞と植物細胞の核膜崩壊は独立に進化したため、もしも植物細胞に同様のspindle matrixがあった場合、それは並行進化により獲得されたと考えられる。植物細胞にspindle matrixが存在するのか、存在した場合は液液相分離が関与しているのかを調べるため、微小管阻害剤の存在下で単量体チューブリン拡散速度はどうなのかを自然科学研究機構ExCellsの根本教授との共同研究で蛍光相関分析(FCS)により解析した。その結果、断片化した核膜に囲まれた領域のチューブリンの拡散は一様ではなく、一部の領域ではチューブリン拡散が非常に遅いことが明らかになった。この領域がどのような構造に起因するかは謎であるが、この構造を起点として微小管形成が起こる可能性が考えられた。 紡錘体形成において微小管依存の微小管形成経路が働かないことが示せれば、液液相分離が関与することの傍証になる。そこで、この経路に働くオーグミンを可視化するため、GFPオーグミンが発現するDNAコンストラクトをタバコ培養細胞に導入した。予備的な観察の結果、断片化した核膜内部でのオーグミンの局在は非常に弱いことがわかった。 これらの結果より、紡錘体の微小管形成は既知の微小管重合核に依存しない未知の機構で重合することが考えられた。この考えは紡錘体微小管が液液相分離で重合するとの仮説に矛盾しない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
紡錘体形成における液液相分離の解析は順調に進んでいるが、もう一つの計画である染色体配列機構の解明が進まなかった。これは、コロナ禍および研究室移転の遅れにより分子生物学実験の設備立ち上げが年度末まで遅れたこと、コロナ禍により学科共通の共焦点顕微鏡の納品も年度末まで遅れ、微小管と動原体の高解像度イメージングができなかったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は研究の最終年度であること、既知の微小管重合核に依存しない紡錘体形成が証明できれば植物の紡錘体形成の研究にとって大きな進歩であることを考え、研究計画を変更して紡錘体形成に絞って研究をまとめる。近年の研究の流れとして、細胞内のタンパク質局在の決定には内生プロモーターによるGFP(あるいは他の蛍光タンパク質)融合コンストラクトの発現が必須である。微小管重合核の主要構成成分であるγチューブリンと蛍光タンパク質を融合させたDNAコンストラクトを内生のγチューブリンプロモータで発現させて核膜崩壊時の局在を解析する。核内の微小管重合についてはチューブリンの濃縮を定量する。これらのデータと従来の解析結果をまとめて論文投稿する。
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Research Products
(1 results)