2019 Fiscal Year Annual Research Report
繊毛と基底小体における「9」を基本とする微小管構造の機能的意義の解明
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18H02475
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
広野 雅文 法政大学, 生命科学部, 教授 (10212177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽和 義幸 法政大学, 生命科学部, 准教授 (10519440)
西川 正俊 法政大学, 生命科学部, 助教 (30444516)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 繊毛軸糸 / 微小管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,遺伝子操作による微小管数が変化した繊毛を作し,それを三次元超解像顕微鏡で観察することによって,運動性と微小管数の相関を解明することである. 微小管数の変化した繊毛を作出するには,その数の決定機構を明らかにする必要があるが,2018年度は,SAS-6とカートホイールを欠失するクラミドモナス突然変異株に,さらにBld10pという基底小体タンパク質の遺伝子を改変すると,繊毛の微小管数が変化することを見出した.このことにより,Bld10pがカートホイールとは独立に微小管数の決定に寄与していることを初めて明らかにした.しかし,Bld10pがどのような構造を構成して微小管数の決定に寄与するのかは不明であった.2019年度は,Bld10pが,基底小体の微小管の間を架橋していることを明らかにした.Bld10pはこの架橋構造の形成を通して微小管の間を一定の距離に配置することによって,微小管数を9本に固定していると考えられる.このような構造の存在とその役割の解明は,微小管数の変化した繊毛を安定して形成するクラミドモナス株の樹立に大きく近づく成果だと言える. さらに,Bld10p遺伝子を改変して微小管数が減少した基底小体・繊毛を形成する株と,8回対称性のカートホイールを形成するように改変したSAS-6遺伝子を発現する株を交配し,2つの遺伝子に改変を加えた株を樹立した.その結果,この株は微小管数が8本の繊毛を50%前後形成することがわかった. また,三次元超解像顕微鏡による繊毛の微小管数の観察については,顕微鏡の光軸方向(試料面のZ軸方向)に蛍光像を再構成するために,蛍光強度分布から計算する手法の確立を試みた.本手法の検証用の試料である蛍光標識した細菌べん毛に適用したところ,らせん形状を再構成することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微小管数の変化した繊毛の作出については,高頻度(約50%)で8本微小管の繊毛を形成するクラミドモナス株の樹立に成功した.また,三次元超解像顕微鏡によって細菌べん毛のらせん形状を検出できたことは大きな成果だと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はクラミドモナス繊毛を三次元超解像顕微鏡で観察し,微小管数を計測できる条件を検討するとともに,2つの遺伝子を改変したクラミドモナス株から繊毛を単離してその運動性を解析する.
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Research Products
(12 results)