2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of molecular mechanisms that brought about positional diversity of the hindlimb in tetrapod
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18H02487
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 孝幸 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (40451629)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脊椎動物 / 骨格 / パターン / 進化 / エンハンサー / 分泌因子 / ヘテロクロニー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまでの研究で我々が明らかにしてきた、後肢の位置の多様性を生み出すGdf11の発現開始タイミングが、何故種によって異なるのか、その分子機構を明らかにすることを目指した。本年度は、頭から後肢までの脊椎骨の数が異なるスッポン胚、ニワトリ胚、マウス胚におけるATAC-seqの結果をもとに、各種の生物におけるエンハンサー候補配列をニワトリ胚への電気穿孔法を用いて解析した。その結果、これまでマウス胚でエンハンサー活性が明らかになっていた領域Bと領域Fがスッポンとニワトリでも存在し、これらのオルソログ領域がエンハンサー活性を示すことが明らかとなった。さらにマウス胚では観察されなかった種特異的にATAC-seqのピークの配列が見られた領域においてもエンハンサー活性を検討した結果、ニワトリとスッポンでそれぞれ4つの領域がエンハンサー活性を示すことが判明した。これらの種特異的エンハンサー候補領域はニワトリとスッポン間でも共通することはないことからGdf11の発現開始タイミングを制御するメカニズムとして、種特異的エンハンサーの進化的な獲得が強く示唆された。さらにシマヘビにおいて個体間でどれだけ後肢/仙椎の位置にバリエーションがあるのかを調べるために、シマヘビ(雌)の成体における仙椎の位置、及び内臓の器官の位置を調べた。その結果、頭部から各器官までの脊椎骨の数のおよそ10%が各個体間でばらついていることが判明した。この結果から脊椎骨数が多い動物になればなるほど頭部から数えて後肢を含む下半身の体の器官の位置が個体間で異なることが判明した。この結果から、後肢の位置はGdf11という分泌因子が作用して位置を決めるため位置の違いといった形態の大進化を誘導出来るが個体間の位置のバリエーションも大きくなることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々はこれまでの研究で、「四肢動物の後肢の位置の多様性は、胎児期の中軸中胚葉に発現する分泌因子であるGdf11の発現開始タイミングの違いによって生み出される」と言う発生学的メカニズムを明らかにした。そこで本研究では、後肢の位置の多様性を生み出すGdf11の発現開始タイミングが、何故種によって異なるのか、その分子機構を明らかにすることを目的としている。そのために頭から後肢までの脊椎骨の数が異なるスッポン胚、ニワトリ胚、マウス胚、シマヘビ胚を用いてATAC-seqを行い、各種の生物におけるエンハンサー候補配列を取得し、ニワトリ胚への電気穿孔法を用い、Gdf11が発現する発生中の全体節中胚葉でエンハンサー活性を評価することを目指している。これまでの2年間の研究で予定通りマウス胚をニワトリ胚を用いてATAC-seqを行いエンハンサーの候補配列を得ることが出来た。3年目はこれまで世界的に研究例のないスッポン胚とシマヘビ胚を採取し、ATAC-seqを行なった。スッポンにおいてはATAC-seqの結果が予定通り得られたが、シマヘビ胚を用いて実験ではエンハンサー候補領域を推定するため目のシャープなピークを検出することが出来なかった。シマヘビ胚は1年に1回しか採取できない季節ものであるため、この点においては実験がやや遅れている。4年目にシマヘビ胚を再度採取しATAC-seqを行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように、3年目はこれまで世界的に研究例のないスッポン胚とシマヘビ胚を採取し、ATAC-seqを行なった。その結果、シマヘビ胚を用いて実験ではエンハンサー候補領域を推定するため目のシャープなピークを検出することが出来なかった。シマヘビ胚は1年に1回しか採取できない季節ものであるため、今後は4年目にシマヘビ胚を再度採取しATAC-seqを行う。また3年目までの研究で明らかになった種を超えて共通なエンハンサー領域である領域Bと領域Fの機能解析をCRISPEr/Cas9システムを用いたエンハンサーノックアウトマウスを作成することにより解析する。作成したマウスはキメラマウスであるため野生型のマウスとの交配によりヘテロマウスを得たのちにそれらを交配させホモ胚を採取する。ホモ胚を用いてGdf11のin situ hybridization及びRT-qPCRによるGdf11の発現量を定量化する。これによりGdf11の発現に領域Bと領域Fが必要であるかどうかを解析する。またホモノックアウトマウスの新生児を採取し、骨染色により後肢の位置が変化しているかどうかを調べる。これにより種を超えて普遍的な後肢の位置決定に必須なGdf11のエンハンサー領域を特定する。
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Research Products
(3 results)