2020 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムに残されたデモグラフィー情報の比較解析で探る生物多様性の環境変動応答
Project/Area Number |
18H02496
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井鷺 裕司 京都大学, 農学研究科, 教授 (50325130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陶山 佳久 東北大学, 農学研究科, 教授 (60282315)
伊津野 彩子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (80816249)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 適応放散 / PSMC / 種分化 / 隠蔽種 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニューカレドニアの準固有属Oxera約30種のうち25分類群を対象にゲノムリシーケンスを行い、PSMC法によって過去数百万年間に及ぶ個体群動態の比較解析を行った。ニューカレドニアのOxeraは500万年前から種分化を繰り返してきたが、多くの種では種分化とともに個体群サイズが増大しており、適応放散的種分化に伴う新たなニッチの開拓により、生存可能な個体数が増大してきたことが明らかになった。その一方で、超塩基性土壌に適応した種群は、数百万年にわたって個体数サイズが小さく保たれてきたことも明らかになった。新たな環境へと適応したものの、植物の生育に不適な超塩基性土壌では個体数が低頻度に保たれているためと思われる。 ニューカレドニア産Oxera続植物の中で、最も広範囲に分布種するO. baladicaに関しては、代表的な5集団から採集した各約20個体を対象にlow coverage genome sequencingを行った。この手法は各サンプルに関しては0.5~1程度の薄いカバレッジでゲノム解読を行い、最尤法で集団レベルのゲノムの特徴を推定するものであるが、その情報をもとに個体群変動をStairway plotで解析したところ、PSMCよりも、より近年に至るまで詳細かつ高精度に個体群動態を推定することができた。 また、Oxera属全体の系統解析として、新種候補11種を含む全38種1370サンプルを対象にMIG-seq法によるゲノム縮約解読を行った。その結果、Oxera属全体における各種・集団・個体の系統的位置付けを明らかにすることができただけでなく、外部形態からは見逃していた隠蔽種が検出され、さらにはこれまで不明であった亜種レベルの系統関係も明らかにすることができた。 以上、本研究で行ったゲノム情報に基づく個体群動態の比較解析や系統解析の結果は、順次論文として発表する予定である。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)