2018 Fiscal Year Annual Research Report
植物の成長に伴い菌根菌は変わる―植物の生活史段階による菌共生パターン多様化の解明
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18H02500
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
遊川 知久 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, グループ長 (50280524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 政秀 千葉大学, 教育学部, 准教授 (00571788)
辻田 有紀 佐賀大学, 農学部, 准教授 (80522523)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 菌根 / 進化 / 植物 / 共生 / 生活史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,野外実験と器内の共生培養実験を組み合わせたアプローチによって,植物が生活史のどの段階でどのように共生する菌パートナーの種類を変化させるかを明らかにするとともに,菌共生パターン変化の適応的意義と進化過程を解明することを目的とする。 平成30年度は,ラン科クロヤツシロラン(オニノヤガラ属)と菌の共生培養系の確立をめざす研究を中心に実施した。オニノヤガラ属は木材腐朽菌や落葉分解菌と共生するため,菌従属栄養植物としては例外的に共生培養が可能であることが知られている。中でもクロヤツシロランは,ライフサイクルが短く小型で扱いやすいため,菌従属栄養植物の生物学的特性を解明するためのモデル植物として最適である。そこで平成30年度は,クロヤツシロラン種子と共生菌の培養器の中における共生培養系を確立することをめざし,最適な培地をまず検討した。1)マルトエキス寒天培地,2)滅菌した落葉片を置床した寒天培地,3)滅菌落葉培地,以上3種類の培地に滅菌した種子を播種し,共生菌として担子菌門のクヌギタケ属とホウライタケ属のそれぞれ1菌株を接種して,25℃暗黒下で培養を行った。その結果,すべての培地で培養開始から15~30日後に発芽を確認した。1)と3)では菌糸が過繁茂したのに対し,2)では菌糸が適度に伸長し実生の生育過程を正確に観察できたため,2)の培地が植物と菌間の相互作用を解明する実験系に最適であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプル収集、データ解析ともに概ね予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに実施するが、昨年度、野外調査で収集できなかったサンプルの入手により注力する予定である。
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