2020 Fiscal Year Annual Research Report
地下圏に生きるCandidate Phyla Radiationの生存戦略に迫る
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18H02501
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
鈴木 志野 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (10557002)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 蛇紋岩化反応 / メタゲノム / 極限環境微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境ゲノミクスの発展により、培養例のない系統群Candidate Phyla Radiation(CPR)がバクテリアの多様性の15%以上を占めることが明らかとなった。ゲノムから見えるCPR細菌の特徴は、アミノ酸、核酸、脂質の生合成経路の多くを欠き、リボソームRNA遺伝子内にイントロンをコードし、呼吸代謝系を持たないというもので、その生き様は全くの謎である。 本研究では、CPRに関し、その生存戦略・進化について明らかにしていく研究である。今年度は、約450程度のCPRゲノムを各種環境から回収し、それらのリボソームに関して、進化的解析を行った。CPRはほかのバクテリアと比較し、いくつかのリボソーム関連遺伝子を欠損していることが明らかとなった。それらの情報をもとに、リボソームの進化についての考察を行っている。また、極限環境に生息するCPRを培養するためには、宿主との共培養が必要となる。現在、宿主は明らかとはなっていないが、ターゲットとするCPRが生息する蛇紋岩化反応サイト唯一の分離株Serpentinimonasの特性の解明を行った。さらに、これらの微生物については、系統学的解析を行い、新しい系統属に属する微生物であることを明らかにし、論文化を推し進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で、当初目指していた米国The Cedarsのサンプリングなどが実施できなかった点は、大きな軌道修正を余儀なくされたが、地下微生物研究が進むにつれ、地下圏を中心として、CRPが多く存在することが報告されるようになった。よって、本研究においても、The Cedarsのみに焦点を当てるのではなく、地下帯水層や海底下生命圏など、各種環境におけるCPRのゲノム情報を回収するという方向へ軌道修正し、ゲノム情報の回収に関しては、大きく前進することができた。一方で、微生物の顕微鏡観察など、実サンプルを必要とする研究は効率的に進めることは困難であったため、新たに、日本国内の蛇紋岩化反応サイトを対象とすることを目指した。今年度は、国内サンプリングも困難であったが、来年度は実サンプルを用いた各種解析を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
状況は改善しつつあるものの、まだ、米国でのサンプリングは困難であると想定される。よって、国内の蛇紋岩化反応サイトをターゲットとして、進める。今年度は最終年度となるため、すでに回収した各種ゲノムデータを中心として、論文化を進める。
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