2019 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of intra-specific variation on the coexistence of sessile organisms evaluated by long-term observation
Project/Area Number |
18H02504
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
甲山 隆司 北海道大学, 地球環境科学研究院, 名誉教授 (60178233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 正美 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (00347767)
相場 慎一郎 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (60322319)
久保 拓弥 北海道大学, 地球環境科学研究院, 助教 (80344498)
野田 隆史 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (90240639)
工藤 岳 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (30221930)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生物群集 / 個体群動態 / 生活史特性 / 機能形質 |
Outline of Annual Research Achievements |
野外調査: 雄阿寒岳と屋久島において、森林永久調査区の観測を実施した。 函館・日浦海岸の潮間帯の複数種フジツボ個体群の季節動態を觀測した。また、大雪山のひさご沼・化雲岳の継続調査地で、高山植生の成長・繁殖調査を実施した。 データ解析: 樹高ー幹直径の拡張アロメトリーで用いられる複数の拡張式の理論的関係を整理した。北海道亜高山帯森林調査区の觀測データの解析から、同種内の個体成長速度の変異がアロメトリー関係に影響すること、下層個体頻度の高い種のほうが個体間変異がおおきいことを明らかにした。 函館・日浦海岸の潮間帯フジツボ2種の個体群の時間変化のデータ化を進めた。 マイクロサテライト・マーカーを用いて、複数の多年生低木個体群の種内遺伝変異と繁殖成功度の解析を実施した。雌性両全性異株の性システムを持つナニワズ(ジンチョウゲ科)は、両性個体の結実能力が低く、実質的には花粉親として機能していることが明らかとなった。花生産は花粉親としての成功度と高い相関があり、果実生産を低くすることにより、安定した花生産を維持していることが示された。両性個体の結実能力には個体群内で個体差が見られたが、その傾向は個体群間で大きな違いは認められなかった。 理論解析: 継続觀測による個体レベルの成長速度の推定値が、觀測間隔や個体間変異に影響されることを、觀測データと理論モデル集団の解析によって明らかにした。熱帯林で複数報告されている「温暖化に伴う成長遅滞」が、このバイアスに依るものと推測した。群集レベルの觀測では、回転速度の速い種個体群の影響が過小評価され、その結果、群集レベルの個体数動態や生態系レベルの純一次生産速度も過小推定となること、その影響が種多様性の高い熱帯林で顕著となることを理論的に解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年3月の、国内外の学会・ワーッくショップの開催がCOVID-19蔓延のため中止やウェブ開催になったが、順調に中間成果の報告や議論を行ううことができた。理論解析では、測定誤差のモデル化や人工個体群との比較解析など、あらたな治験を加えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
二年間の研究進捗に基づいて、当初計画に沿って研究を進め、成果を取りまとめる。 森林永久調査区の継続観測を進めるとともに、他の觀測データにも適用できる觀測誤差モデルと外れ観測値の抽出スキームを提出する。論文発表とともにデータとコードも公開し、多くの研究者の利用・検証に寄与する。種内個体変異が多種共存に及ぼす影響を、觀測データの解析によって、明らかにする。
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