2018 Fiscal Year Annual Research Report
Sodium acquisition by herbivores in 'ordinary' ecosystems
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18H02508
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
半谷 吾郎 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (40444492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 徹 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (10201964)
加藤 正吾 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20324288)
揚妻 直樹 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (60285690)
太田 民久 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 特命助教 (60747591)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナトリウム / 採食戦略 / アルドステロン / メタバーコーディング / 植食動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナトリウム(Na)は、動物には必須だが植物組織には少ししか含まれておらず、その確保は植物食動物にとり大問題である。本研究では、植物食動物のNa獲得戦略を明らかにすることを目的とし、そのために日本列島スケールで海岸からの距離による森林のNa量をモデル化した上で、海岸というNaホットスポットが存在する場所(屋久島海岸部)と、それがない「普通」の生態系(屋久島上部域、白山)で、環境中のNa分布と、直接観察や糞のメタバーコーディングで調べた野生ニホンザル、ニホンジカ、ニホンカモシカの食性資料と組み合わせて野生動物のNa摂取量を推定することを目指す。これら野生動物の糞中のNa再吸収ホルモン(アルドステロン)濃度を調べ、Naが制限される野生下で、腎臓でのNaの回収や食物からの積極的なナトリウム吸収があるのかを調べる。これらを通じて、Naホットスポットがある場合とない場合に、野生の植物食動物は、生存に必要なNaをどう確保するのかという、動物生態学で見過ごされてきた大きな課題を解明する。 本年度は、本州でもっとも海から遠い位置にある、岐阜県の岐阜大学演習林で9月に、屋久島の海岸部と上部域で9月と2月に、環境を網羅するような樹木の生葉と落葉の採取を行い、そのうち9月採取分については、ナトリウムの測定を終えた。2月分については、試料の分析中である。 また、屋久島海岸部のニホンジカについて、排泄直後から、数時間の間に繰り返し何度も採取した糞を用いて、アルドステロン濃度を測定した。その結果、2時間程度で、アルドステロン濃度は変化することがわかり、アルドステロンの測定のためには、排泄直後の糞を用いる必要があることがわかった。 これを踏まえ、屋久島海岸部と上部域、白山でニホンザルとニホンジカの新鮮な糞の採取を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、屋久島での環境中のナトリウム測定のための試料収集を予定通り終えた。ナトリウム再吸収ホルモンの測定のためには、排泄後どの程度の時間が経過した糞が使用できるかについての検討が必要だったが、排泄直後の糞が必要であることがはっきりし、その上で十分な数の試料を集めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
屋久島については3回目の試料採取を行い、3回分の試料の測定結果の分析を進め、ナトリウム濃度に季節変化はあるのか、海岸からの距離に応じて、環境中のナトリウム濃度がどのように変化するのか、またそれは植物のみを採取していて、動物にとって必要十分な量を確保できるほどの濃度なのかを、主に屋久島の結果をもとに明らかにする。糞試料中のアルドステロン濃度を計測し、十分な量のナトリウムを摂取していると考えられる飼育個体に比べ、どのような違いがあるのかを明らかにする。白山および岐阜県のほかの森林で、昨年度同様に、環境中のナトリウム濃度測定のための葉の採取を行う。
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Research Products
(5 results)