2019 Fiscal Year Annual Research Report
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18H02516
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 貴文 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (20184533)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | テナガザル / 多様性 / 保全 / 分子基盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
テナガザルは現生類人猿の中で最も表現型の多様性に富み、それらの多様な形質は強く遺伝的に支配されていることが示唆されているが、それらを司る遺伝子/ゲノム領域は特定されていない。本研究では、ゲノムのドラフト解析データ、テナガザルを特徴付ける形質と関連する遺伝子の構造・修飾・発現解析を通じ、テナガザルとその多様性を特徴づけるゲノム・遺伝子背景を明らかにする。 昨年度着手したGRAS-Di解析により得られたデータのソーティングをおこない、汎用化を高めた。GRAS-Di解析の結果の解析から、Hylobates属のテナガザルに関し、分岐と遺伝子浸透の概要が把握された。これらHylobates属の進化過程について得られた知見を投稿論文として纏めるに至った。中でも、遺伝子浸透の候補領域が複数得られたことは、テナガザル進化における、淘汰の検証にも繋がることとして重要である。一方、表現型に関わる遺伝子の進化を見るには、GRAS-Di解析の解像度は低く、全ゲノムシーケンスをすることとした。。全ゲノム解析は、Hylobatesの3個体をx30の深度で行い、有効集団サイズの推定、ML系統樹の作成、D統計量の計算、admixture graphの作成、有効集団サイズとイントログレッション量の推定に着手した。 テナガザルの遺伝資源・遺伝情報の拡充に関しては、引き続き継代可能細胞の維持とDNAバンクの拡充に努めるとともに、国内外の研究者とシェアすることで、当該分野における貢献を目指した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス災により、年度末の出張ができなくなり、新規データ収集が滞っている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、GRAS-Di解析の結果をベースとして、全ゲノム解析もデータを上乗せし、より解像度を高めて表現型に関わる遺伝子の検出を試みる。
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