2022 Fiscal Year Annual Research Report
幼少期の養育環境の違いによる脳内自己/他者モデルの個体差および性差に関する研究
Project/Area Number |
18H02519
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
則内 まどか 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 客員研究員 (20571897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 吉晃 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 客員教授 (50134739)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | fMRI / 脳機能 / 養育態度 / 親スキーマ / 親子関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の最終年度にあたり、脳画像データおよび質問紙データについて集団解析を行い、性別の差を含めて考察を深めた。特に幼少期の被養育経験の過程で作成された自己・他者についてのスキーマモデルに加え、父親・母親についてのスキーマモデルに関する脳機能と現在の自尊感情との関係性を検討した。 その結果、集団全体、女性群、男性群いずれも母親および父親のポジティブなスキーマ評価時に比べてネガティブなスキーマ評価時において、特徴的な脳活動が示された。また、親についてのスキーマモデルとその評価時の脳活動が、母親と父親に対し異なること、さらに女性と男性でも異なることが示された。 女性が母親に対し否定的な評価を行う場合、警戒的な情動反応を示し、自身や母親の心的状態を推し量るような脳活動を示した。さらに女性の自尊感情と母親に対するスキーマモデルは密に関係していることが示唆された。これらは、母親との関係性において男性とは大きく異なる点であると考えられる。父親についてのスキーマモデルは、男女ともに社会的な距離感をもとに評価し、とくに女性は父親のスキーマを評価する際に客観的かつ認知的に判断することが推察された。このことは、母親に対するスキーマ形成と大きく異なると考えられる。 以上より、本研究では、長い養育期間を経験するヒトの女性と男性それぞれに内在する母親・父親についての個別のスキーマ、母親・父親それぞれと築く関係性、また自己認知発達の共通点や差異について、脳科学的に明らかにした。この成果は、養育の長いヒトの適応能を知るだけでなく、将来の養育スタイルに影響しうる要因を明確にし、その重要性が社会的にも認識されている親の養育態度や養育環境にまつわる諸問題への具体的な対応策を提供する科学的エビデンスになるものと考えられる。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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