2020 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism for brain development and aging
Project/Area Number |
18H02537
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
岡戸 晴生 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 室長 (60221842)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 志伸 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主任研究員 (00625189)
田中 智子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 研究員 (40578986)
新保 裕子 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 研究員 (50724663)
三輪 秀樹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, 室長 (80468488)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | RP58 |
Outline of Annual Research Achievements |
成熟後にRP58の発現を減弱させたところ、やはり認知機能の低下を見出し、RP58の発現を興奮性ニューロンで増加させたところ、生理的な加齢に伴う認知機能低下を抑制できることを見出した。さらに興味深いことに、ヒト型変異APPホモマウス(アルツハイマー病モデル)にRP58発現アデノ随伴ウイルスを用いてRP58を過剰発現させると、低下した認知機能が改善した。すなわち、ウイルス投与前(3ヶ月齢)では、物体位置認識および新規物体認識試験テストにより、APPホモマウスは認知機能が低下していたが、RP58発現ウイルス投与後1ヶ月後には、認知機能が正常レベルに回復していた。一方、GFP発現ウイルス投与1ヶ月後(コントロール群)では認知機能は低いままであった。組織解析において、RP58補充群では、アミロイド斑はサイズがコントロールと比較して小さい傾向が見られ、RP58を補充したことによりアミロイド蓄積が抑制された可能性を示している。 以上のことから、RP58は不可逆的と考えられていた、老化やアルツハイマー病に伴う認知機能低下を可逆的に制御している可能性が示された(岡戸、新保:国際特許出願,2020)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
RP58がアルツハイマーモデルマウスの症状を改善するという、予想外の知見が得られた。すなわち、アルツハイマー病モデルマウスで、認知機能障害が確認された段階で、アデノ随伴ウイルスを用いてRP58を経静脈的に脳に導入すると、1ヶ月後に認知機能の改善を認めた。この結果は、不可逆的と考えられていた認知症症状が、可逆的に改善できうることを示唆している。
|
Strategy for Future Research Activity |
RP58の発現減少により変化する転写産物の同定、RP58の制御遺伝子の同定を試みる。また、RP58の減少による認知機能低下やDNA切断を改善する方策を探索する。
|
Research Products
(2 results)