2019 Fiscal Year Annual Research Report
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18H02548
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮道 和成 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (30612577)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ウイルス遺伝子工学 / ミニプロモータ / アデノ随伴ウイルス / トランスシナプス標識 / 視床下部 / オキシトシン |
Outline of Annual Research Achievements |
膨大な種類のニューロンが複雑に接続した哺乳類の脳において,特定の神経機能に重要な要素を抽出するにはどうしたらよいだろうか? 本研究課題は,神経回路の構造を比較することによって機能的に重要な回路要素を抽出する“比較コネクトミクス”の実装を目的としている.この目的のために,逆行性の狂犬病ウイルスを用いたトランスシナプス標識やTRIO法を基軸に神経回路比較の解析プラットフォームの構築を目指した.2019年度には視床下部室傍核のオキシトシンニューロンを標的に性別と生殖状態の異なる多数のサンプルを得て比較を行った.その結果,オキシトシンニューロンのシナプス前細胞群のおよそ8割が視床下部の各領域に分散して存在すること,少数だが特徴的な長距離の入力があることを見つけた.これらの中には従来知られていないオキシトシンニューロンのシナプス前細胞群が多数含まれている.更に,妊娠期や授乳期にオキシトシンニューロンへの入力が変化するシナプス前細胞群を見出した.これらの機能解析が今後の課題となる.次に,ニューロンタイプ特異的なトランスシナプス標識の標的をマウス以外の哺乳類種に拡張するため,アデノ随伴ウイルスベクターのみを用いてトランスジーンを導入する系を試み,オキシトシン遺伝子のミニプロモータを用いてマウスとフェレットのオキシトシンニューロンを特異的に標識可能であることを見出した.すでにフェレット運動野においてトランスシナプス標識が動くことを確認済みなので,今後はオキシトシンニューロンの神経回路の種間比較を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トランスシナプス標識サンプルの大規模な解析を進め,多くの研究シーズを生み出している.またアデノ 随伴ウイルスベクター用いた細胞種特異的な遺伝子導入が進んでおり,非遺伝学モデル生物としてフェレットにおける実験が進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
性あるいは状態によって変化するオキシトシンニューロンのシナプス前細胞群については,細胞の種類をin situ hybridization法を適用することで特定する.必要に応じて,一細胞レベルのRNAseq解析を組み合わせて使用する.着目したシナプス前細胞群に特異的にCre組み換え酵素を発現するマウス系統を準備し(必要なら作出する),順行性の軸索標識やChR2を用いた回路マップ法により回路の変動を確証する.さらにそれら回路要素を操作した場合のオキシトシンニューロンの活動や機能を光あるいは薬理遺伝学的手法を用いて検討する.アデノ随伴ウイルスベクター用いた細胞種特異的な遺伝子導入系を発展させ,マウス、ラット、フェレットの三種でオキシトシンニューロンを活動させたときの行動変化を定量する.またトランスシナプス標識法をフェレットに導入し,マウスの結果と比較することで進化的時間スケールの中でコネクトームの変遷を明らかにする領域として比較コネクトミクスを創設する.
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Versatile whole-organ/body staining and imaging based on electrolyte-gel properties of biological tissues2020
Author(s)
Susaki EA, Shimizu C, Kuno A, Tainaka K, Li X, Nishi K, Morishima K, Ono H, Ode KL, Saeki Y, Miyamichi K, Isa K, Yokoyama C, Kitaura H, Ikemura M, Ushiku T, Shimizu Y, Saito T, Saido TC, Fukayama M, Onoe H, Touhara K, Isa T, Kakita A, Shibayama M, Ueda HR.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 11
Pages: 1982
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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