2019 Fiscal Year Annual Research Report
革新的連続反応プロセスの開発を基盤とする高次構造天然物の合成研究
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18H02549
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳山 英利 東北大学, 薬学研究科, 教授 (00282608)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 全合成 / アルカロイド / ラジカル反応 / 連続反応 / アザスピロ環 / 不斉合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
sp3炭素に富む複数の環が三次元的に縮環した構造や、複数のヘテロ元素を含む全置換複素環構造は創薬上重要構造である一方で、反応点の周囲の嵩高さや他の官能基の存在により、狙った通りの反応を実行するのは極めて困難である。本研究では単位反応を連続反応として集積化することで、反応位置、立体化学、化学基選択性などの課題を解決しながら望みの生成物を得る革新的連続反応プロセスの開発を目的とする。さらに、医薬的に有用な生物活性を有する高次構造生物活性天然物、特に多環性アルカロイドの全合成を短段階かつ効率的に実現することを目的としている。以下本年度得られた実績の概要を記述する。 本年度は、特に、ラジカル転移・環化反応カスケードを用いたアザスピロ化合物、レパジフォルミンAの全合成を達成し、連続反応が、高次構造の一つであるアザスピロアルカロイドの短段階不斉合成に極めて有用であることを実証することができた。本成果については、米国化学会Organic Letters誌上で発表され、Cover Pictureにも選ばれた。また、2020年3月のダウンロード数の上位14位にランクされるなど、広く注目を集めた。 また、パラジウム触媒の動的制御に基づいたワンポット多成分連結反応と全合成への応用を目的とするサブテーマでは、これまでに開発しているパラジウム触媒を用いたジチオカーボネートと有機亜鉛試薬とのワンポットカップリング反応の条件の再検討を行い、これまでの収率を大幅に向上させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に設定した4つのサブテーマ、すなわち、1)ベンザインを駆使した革新的連続反応と多置換複素環化合物群の全合成、2)遷移金属触媒の動的制御に基づいたワンポット多成分連結反応の開発と全合成への応用、3)不斉誘起型ラジカルカスケード転位反応を利用したアザスピロ天然物の全合成、および、4)カスケード環化反応を基軸とする高次縮環型環状天然物の全合成、それぞれにおいて、基本となる連続反応の確立をすでに行い、幾つかのアルカロイドの全合成を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、最終年度の取りまとめに向けて、確立した3つの連続反応を用いた高次構造アルカロイドの全合成研究を達成すべく、精力的に研究を進める。特に、サブテーマの、「ベンザインを駆使した革新的連続反応と多置換複素環化合物群の全合成」に関しては、海産性アルカロイドの網羅的な合成達成に繋がる成果が出つつあり、最終年度では重点的に取り組む予定である。また、「パラジウム触媒の動的制御に基づいたワンポット多成分連結反応」を用いたシリンドリシンの合成、及び、「カスケード環化反応を基軸とする高次縮環型環状天然物の全合成」に置けるセスペニンの合成についても、鋭意研究を進める予定である。
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Research Products
(39 results)