2019 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪族アルデヒドの直接的不斉交差アルドール反応の新展開
Project/Area Number |
18H02554
|
Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
古田 巧 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30336656)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 交差アルドール反応 / アニリン性酸塩基触媒 / 触媒的不斉合成 / 基質選択性 |
Outline of Annual Research Achievements |
異種の脂肪族アルデヒドを直接的かつ触媒的に C-C 結合で連結する不斉交差アルドール反応は、キラルな 1,3-ジオールを不斉構築する最も有望な方法の一つである。しかし、現在の有機化学では反応性の類似した異なるアルデヒドをエノール成分(アルドールドナー)とカルボニル成分(アルドールアクセプター)に識別できず、所望の交差体の他にホモアルドール体や望まない交差体が副生し複雑な混合物を与える。本研究は、この交差アルドール反応を触媒によりアルデヒドのわずかな反応性の差を見分けることで、精密に制御しようとするものである。 昨年度までに、軸性不斉を持つアニリン性酸塩基触媒存在下、カルボニル基の alpha-位に酸素を持つアルデヒドを含む交差アルドール反応を検討してきた。その結果、alpha-位に酸素を持つアルデヒドがアルドールアクセプターとなった交差アルドール体が、syn-体を主ジアステレオマーとして、高エナンチオ選択的に得られることを明らかにした。この反応では、2種類のアルデヒド基質を等量用いた場合でも、交差アルドール付加体が主に得られる。 この結果を受け、今年度は、ホモアルドール反応等の副反応が避けられず制御困難な反応として知られる、脂肪族アルデヒドとアセトアルデヒドとの分子間交差アルドール反応を検討した。その結果、3,5 位にトリフルオロメチル基が置換したフェニル基を、その 3,3´ 位に持つアニリン性酸塩基触媒を用いると、71% 収率、70% ee で alpha-位に酸素を持つアルデヒドがアクセプターとなった交差アルドール体が得られることがわかった。この反応における立体選択性について計算化学により考察したところ、アクセプターとなるアルデヒド基を活性化する CH-O 水素結合が存在し、C-C 結合形成段階の遷移状態の安定化に寄与していることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、アセトアルデヒドと脂肪族アルデヒドとの分子間交差アルドール反応を制御しながら、ある程度の不斉収率で交差付加体をえることに成功した。さらに、基質一般性の検討や、計算化学による反応機構解析なども順調に進展した。その一方、昨年度と同様に、当初計画していた3成分連結型の交差アルドール反応の検討においては、その反応自体を進行させる条件を見出すことができず、この面での研究進展はみられなかった。これらを総合的に判断し、本研究は「おおむね順調に進行している」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度見出した脂肪族アルデヒドとアセトアルデヒドとの不斉交差アルドール反応を改良する目的で、新規触媒の開発を軸に検討を進める。今年度の研究では、触媒骨格中に含まれる酸性度の高い C-H 結合による CH-O 水素結合が、アクセプターとなる alpha-オキシアルデヒドを活性化し、化学収率および不斉収率の向上に寄与していることが示唆された。この知見を基に、CH-O 水素結合を積極的に分子設計に取り入れた新規触媒を開発し検討を進める予定である。例えば、面性不斉シクロファンを母核に持つ触媒などを候補に考えており、その合成検討から研究を進める予定である。
|
Research Products
(20 results)
-
[Journal Article] Synthesis and biochemical characterization of quasi-stable trimer models of full-length amyloid β40 with a toxic conformation2019
Author(s)
Yumi Irie, Mizuho Hanaki, Kazuma Murakami, Tsuneo Imamoto, Takumi Furuta, Takeo Kawabata, Taiji Kawase, Kenji Hirose, Yoko Monobe, Ken-ichi Akagi, Ryo C Yanagita, Kazuhiro Irie
-
Journal Title
Chemical Communications
Volume: 55
Pages: 182-185
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-