2020 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルグライコミクスによる細胞の包括的な糖鎖代謝ネットワーク解析
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18H02565
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
篠原 康郎 金城学院大学, 薬学部, 教授 (20374192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 潤一 北海道大学, 医学研究院, 特任准教授 (30374193)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ケミカルグライコミクス / 糖鎖代謝 / 遊離オリゴ糖 / スワインソニン / キフネシン / 1-デオキシマンノジリマイシン / 2-フルオロフコース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞の糖鎖代謝系の一部が撹乱されたときに,細胞全体の糖鎖発現ネットワークはどの程度影響を受ける(あるいは受けない)のかをケミカルグラ イコミクスのアプローチにより明らかにする研究を推進した。2020年度は、前年度から着手したClass 1およびClass 2のα-マンノシダーゼの働きを阻害する薬剤としてキフネシン、1-デオキシマンノジリマイシン、スワインソニンがHepG2細胞のN結合型糖鎖と遊離オリゴ糖に与える影響を精査した。Class 2 α-マンノシダーゼ阻害剤であるスワインソニンを用いた場合、N-glycanではハイブリッド型の蓄積に伴いフコシル化されたハイブリッド型糖鎖やフコシル化されたMan5の発現がユニークに観察された。遊離オリゴ糖では還元末端にGlcNAcを2つ有するGn1型の個々の糖鎖の顕著な発現増加や、還元末端にGlcNAcを2つ有するGn2型の個々の糖鎖ごとのユニークな発現変動を観察した。N-glycanと遊離オリゴ糖で認められた糖鎖の発現変動の時系列や相互の関係を精査するために、両者の発現変動を経時的に解析した。また、ハイブリッド型N-glycanの蓄積の阻害が遊離オリゴ糖の蓄積に与える影響等を調べるために、Class 1α-マンノシダーゼ阻害剤とスワインソニンを併用したときの糖鎖発現を解析した。また、スワインソニン添加時に発動するハイブリッド型N-glycanのフコシル化やフコシル化Man5の生成に至る代謝経路を阻害したときの影響を調べるために、フコシル化阻害剤である2-フルオロフコースとスワインソニンを併用したときの糖鎖発現を解析した。これらの検討により、各種変動の時系列と相互関係を明らかにするとともに、代謝経路が未知のフコシル化Man5の代謝経路について考察を行った。また、糖化ストレスが細胞の代謝経路に与える影響を調べるための予備検討として、糖化の初期反応であるイミン形成能を評価する系を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響で研究環境が一時制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
α-マンノシダーゼ阻害剤を用いた研究に関して、興味深い発現変動を示した糖鎖の細胞内局在を解析するとともに、別途細胞内転送を阻害する薬剤が糖鎖の発現変動に与える影響を精査する。また、遊離オリゴ糖ではGn1型Gn2型などの構造異性体が複数含まれるため、これらの構造を区別する手法を確立する。
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Research Products
(2 results)