2019 Fiscal Year Annual Research Report
The role of plasma membrane phospholipid in differentiation of keratinocytes
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18H02575
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中村 由和 東京理科大学, 理工学部応用生物科学科, 准教授 (60366416)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イノシトールリン脂質 / 表皮角化細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎や乾癬などの皮膚疾患では表皮角化細胞の分化に異常が見られており、これらの皮膚疾患に対する創薬標的分子の同定には表皮角化細胞の分化制御機構の理解が重要である。最近、申請者はある種の細胞膜リン脂質が表皮角化細胞の分化を制御することを示唆する結果を得た。そこで本研究では当該細胞膜リン脂質の変化が細胞分化に与える影響を解明することを目的とする。具体的には表皮角化細胞の分化に関与するリン脂質代謝酵素を特定し、その酵素を操作することにより細胞膜リン脂質の量や細胞分化の制御が可能かを検討する。また、細胞分化に関与することが想定される細胞膜リン脂質の近傍に存在するタンパク質を探索、特定し、細胞膜リン脂質による表皮角化細胞分化制御機構を解明する。2019年度は標的リン脂質代謝酵素の一つを表皮角化細胞特異的に欠損したマウスにおいて表皮角化細胞が特殊な様式の分化をして生じる皮脂腺の形成異常が見られることを明らかにした。また、このマウスに皮膚炎を誘導した際には皮膚炎の悪化が見られることも明らかになった。2018年度の研究において、標的リン脂質の近傍タンパク質として表皮細胞の分化と密接に関連する細胞間接着タンパク質群が得られ、そのうちの一部のタンパク質について標的リン脂質の減少により局在変化が見られることを明らかにしていた。2019年度の研究では、2018年度に局在変化の検討を行っていなかった他の細胞間接着タンパク質についても検討を行い、これらのタンパク質も標的リン脂質の減少により局在変化が見られることを確認した。さらに標的リン脂質を増加させた際には、これらのタンパク質の細胞間接着部位への集積が促進され、強固な細胞間接着が形成されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究により、標的リン脂質の量を制御する脂質代謝酵素が正常な皮脂腺分化や皮膚炎の重症化抑制に必要であることを明らかにすることができたため。また、表皮細胞分化に関与する標的リン脂質の近傍タンパク質の局在が標的リン脂質の量による制御を受ける可能性が高いことを明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
特定した標的リン脂質近傍タンパク質の標的リン脂質機能発現への関与を明らかにする。また、標的リン脂質の量を調節する酵素のうち、2019年度に解析を行った酵素以外の酵素についても解析を進め、表皮角化細胞の分化を制御する脂質代謝酵素の特定と機能解析を行う。
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Research Products
(13 results)