2018 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞制御を目指した天然物基盤生死の天秤シグナルモジュレーターの創成
Project/Area Number |
18H02582
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
荒井 緑 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (40373261)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 天然物 / 幹細胞 / 阻害剤 / タンパク質 / ケミカルバイオロジー / がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内には生体の再生や恒常性を保つ各種シグナル伝達(Wnt, Hh, Notch-Hes等)が存在するが、変異等で異常亢進すると一転してがんや疾病に繋がる。本研究ではこのような「生死の天秤」を司るシグナル伝達を天然物基盤の小分子で制御することで、幹細胞の分化加速とがん幹細胞の撲滅を目指す。本年度は神経幹細胞の分化の運命を握るNotchシグナル阻害剤の探索とその作用機序解明を行った。当研究室で構築したレポーターアッセイ系(安定発現細胞)を用いて亜熱帯植物エキスライブラリーをスクリーニングしたところ数種が活性を示した。その中の1種を活性を指標に分画し、6種のカルデノライドを単離した。Notchシグナル阻害活性はIC50 0.51-1.65 uMで比較的強い阻害活性を示した。Notchシグナルが異常亢進しているリンパ性急性白血病細胞HPB-ALLにIC50 34 nMの毒性を示し、Notchシグナルの標的タンパク質であるHes1の発現も減少した。種々、作用機序を検討したところ本化合物はNotch1 (full length)とMAMLの発現量を減少させることで阻害活性を示していることが示唆された。 また、本年度はがん幹細胞で発現が上昇しているタンパク質B-cell-specific Moloney murine leukemia virus region 1 (BMI1)のプロモータ活性阻害を指標にした天然物単離も行った。Streptomyces sp. IFM-11958より、elaiophylinを強いBMI1プロモーター阻害剤(IC50 30 nM)として見いだした。BMI1はmRNAレベルで減少していることを確認した。また、肝がん細胞(Huh7)のスフェア形成を阻害したことから、本化合物はBMI1の発現を阻害してHuh7のがん幹細胞性を抑制したことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は生死の天秤に関わる二つのシグナル伝達(Notchシグナル、BMI1プロモーター作用)において、その作用を阻害する天然物を単離・構造決定を行った。その結果、いくつかの有用な阻害剤を見いだすことができた。また、新たな標的タンパク質指向型天然物単離法の構築の試みとして、Notchシグナルの最下流で働く転写因子NICD (Notch intracellular domain)に着目し、NICD担持セファロースビーズを用いた天然物の探索法を構築した。このように、本研究 はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き細胞の生死の運命決定に関わるシグナルのモジュレーターを植物・放線菌ライブラリ-および千葉化合物ライブラリーを用いて探索していく。特に新しく構築したNotchシグナルの転写因子複合体の一つNICD担持ビーズを用いた探索に力をいれる。また現在、各種がんや肺高血圧症で亢進しているHIFシグナル阻害剤を見いだすためのレポーターアッセイ系を構築中である。構築完了次第、阻害剤を探索していく。さらに得られた化合物の有機合成化学的展開も行っていく。
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Research Products
(11 results)