2019 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質恒常性維持機構の変容に着目した神経変性疾患の診断治療法開発
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18H02585
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
武内 敏秀 近畿大学, ライフサイエンス研究所, 講師 (70600120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
皆川 栄子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第四部, リサーチフェロー (20726252)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / プロテオスターシス / エクソソーム / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの神経変性疾患は、タンパク質の凝集・蓄積が原因で発症する。近年、タンパク質の凝集を防ぐ生体内防御機構の機能低下が、神経変性疾患の発症や病態進行に密接に関与することが指摘され、この防御機構の変容に着目した疾患診断・治療法開発の可能性が示唆されている。以前、我々は分子シャペロンのエクソソーム分泌・伝播を介した新しい生体内防御機構の存在を明らかにし、その活性化による細胞非自律的な神経変性抑制効果を報告した。そこで本研究では、エクソソームを介した生体内防御機構に着目し、神経変性病態への関与を立証するとともに、この防御機構の活性化による治療効果を検証する。初年度では、エクソソーム伝播を介したプロテオスターシス維持機構の解明を目的として、培養細胞を用いた検討を進め、エクソソーム分泌機序の一部が明らかとなっていた。第二年度では、初年度に引き続いてエクソソーム分泌機序解明に焦点を当て、培養細胞およびショウジョウバエモデルを用いた検討を行った。その結果、エクソソーム分泌を制御する因子を同定した。また、この制御分子において、エクソソーム分泌に関与する機能ドメインを明らかにした。一方、神経変性疾患におけるエクソソーム分泌の変容解析の事前準備として、野生型マウスを用いて血液エクソソームの採取条件を種々検討し、最適な実験条件を決定した。また、初年度から引き続き、ポリグルタミン病モデルマウスおよび野生型マウスの血液検体のサンプリングを行った。これらの血液検体からエクソソームを精製し、プロテオーム解析を行った結果、疾患で変動するタンパク質を複数同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エクソソーム分泌・伝播に関する分子機序解明が進むとともに、神経変性疾患におけるエクソソーム変容の解析が予定どおり進行しているため
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Strategy for Future Research Activity |
エクソソーム伝播を介したプロテオスターシス維持機構について、これまでにエクソソーム分泌に関与する分子の同定に成功している。第三年度では、この分子に注目し、神経変性疾患の細胞およびショウジョウバエモデルを用いて分子機序解明をさらに進める。また、神経変性疾患におけるエクソソーム分泌の変容を明らかにするため、疾患モデルマウスを用いた詳細な変容解析を進めるとともに、ポリグルタミン病患者検体を用いて変動を検証し、疾患バイオマーカーへの応用展開の可能性を調べる。
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