2018 Fiscal Year Annual Research Report
MicroRNA as a cause, a biomarker, and a therapeutic target of pulmonary fibrosis
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18H02586
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高野 幹久 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 教授 (20211336)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薬剤性肺線維症 / 肺胞上皮細胞 / 上皮間葉転換 / マイクロRNA / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
抗がん剤などで引き起こされる肺線維症は、臨床上大きな問題であるが、発症のメカニズムは不明である。肺線維症は、筋線維芽細胞による過剰な細胞外マトリックスの産生に起因するが、近年、その由来として肺胞上皮Ⅱ型細胞の筋線維芽細胞への転換(上皮間葉転換;EMT)が注目されている。本研究ではマイクロRNA(miRNA)に着目し、特定のmiRNAが薬剤誘発性EMT、ひいては薬剤性肺線維症の原因、バイオマーカーおよび治療標的となり得るかについて検討することを目的とする。平成30年度の成果は以下のとおりである。
1)ヒト肺由来A549細胞からRNAを抽出し、RT-PCR法によりABCA3遺伝子を2つのフラグメントに分けて増幅し全長をクローニングした。この遺伝子をレトロウイルスベクターに組み込み、最終的にウイルスを用いてABCA3遺伝子をA549細胞に導入し、A549/ABCA3細胞を得た。 2)A549/ABCA3では、肺胞上皮Ⅱ型細胞に特徴的な細胞内構造lamellar bodyの形成が増大していた。またABCA3以外にもⅡ型細胞で発現の高いPEPT2のmRNA発現が亢進しており、Ⅱ型形質が高まったものと考えられた。 3)A549/ABCA3細胞を肺障害性薬物であるブレオマイシンおよびメトトレキサートで処置したところ、EMTマーカーであるα-SMAのmRNA発現上昇を認めEMTが誘発されることを確認した。そこでこれら薬物処置によるmiRNAの発現変化をマイクロアレイで網羅的に解析した。得られた結果をVolcano plotし、薬物処置で2倍以上の変動を認め、またP値が0.01未満のmiRNAを選別することができた。その中で薬物によって上昇したmiR-34aについてはreal-time PCRによっても発現上昇を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最初、ABCA3の全長を一度にRT-PCR法で増幅しようと試みたが、5115bpと長いためか困難であった。そのため、2つのフラグメントに分けて増幅し、それをつなぐことで全長のABCA3遺伝子を得た。またABCA3遺伝子を含むプラスミドベクターを、Lipofectamin2000を用いてA549細胞に導入しようと試みたが、安定発現株を得られなかった。そこで他研究室の協力も得て、レトロウイルスベクターを用いることで導入に成功しA549/ABCA3細胞を得た。このように、Ⅱ型形質を高めたA549/ABCA3細胞の作成に時間を要したため、当初予定よりもやや進捗が遅れたが、その後は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
A549/ABCA3細胞においてブレオマイシン、メトトレキサートによってEMTが誘発されること、miR-34aの発現が上昇することを認めたので、ゲフィチニブ、パクリタキセルなど他の肺障害を起こす可能性がある薬物についても同様に検討し、肺障害性薬物に共通して観察される変化かどうか明らかにする。次に、miR-34aのmimicを細胞に導入し、α-SMAのmRNA発現を指標にmiR-34a が直接EMTを誘発するか否か検討する。また、肺線維症モデル動物の作成に着手する。具体的には、実験動物にブレオマイシンを気管内投与し、ヒドロキシプロリンの含量変化などを肺線維症の指標として投与量や処置日数の最適化を図る。
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[Journal Article] Folic acid prevents methotrexate-induced epithelial-mesenchymal transition via suppression of secreted factors from the human alveolar epithelial cell line A5492018
Author(s)
Kawami, M., Harabayashi, R., Harada, R., Yamagami, R., Yumoto, R. and Takano, M.
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Journal Title
Biochem. Biophys. Res. Commun.
Volume: 497
Pages: 457-463
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] P-gp modulating effect of Azadirachta indica extract in multidrug-resistant cancer cell lines2018
Author(s)
Kawami, M., Yamada, Y., Issarachot, O., Junyaprasert, V.B., Yumoto, R. and Takano, M.
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Journal Title
Pharmazie
Volume: 73
Pages: 104-109
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Functional expression of breast cancer resistance protein and cholesterol effect in human erythrocyte membranes2018
Author(s)
Takano, M., Higashi, M., Ito, H., Toyota, S., Hirabayashi, Y. and Yumoto, R.
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Journal Title
Pharmazie
Volume: 73
Pages: 700-705
DOI
Peer Reviewed
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