2018 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の極性を制御する遺伝子の組織、個体での機能とその分子機構の解明
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18H02594
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 彰宏 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40251441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 信一郎 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60584521)
森脇 健太 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70778068)
國井 政孝 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80614768)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞極性 / 上皮細胞 / Rab / SNARE / 極性輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究1)Rab8結合蛋白EHBP1L1に関する研究(研究分担者森脇を中心に行う) EHBP1L1のKOマウスでは赤血球の脱核に異常が生じ非常に重篤な貧血を呈した。脱核過程におけるEHBP1L1の分布を観察し、lysosome, early endosomeと異なる小胞に局在することを明らかにした。更にproteomicsによってEHBP1L1の結合分子を検索し、赤血球の浸透圧に関わる分子を結合分子として同定した。 (研究2)apical輸送に必須なSNAREに関する研究(研究分担者國井を中心に行う) syntaxin3, SNAP23は共に小胞とapical細胞膜の融合に必要なSNARE分子である。我々は小腸特異的syntaxin3 KOマウスにおける小腸上皮細胞の増殖亢進と神経特異的SNAP23 KOマウスにおいて大脳皮質や小脳の顕著な低形成という表現型を見出したため、下記の研究を行った。(1) syntaxin3 KOによる細胞増殖亢進の分子機構の解明のため、KO, WTでRNAseqを行い、増殖因子のmRNAがKOで増加することを明らかにした。(2) SNAP23は神経幹細胞同士の、脳室に面した(apical面に相当する)部位のadherens junction形成への関与が示唆され、細胞膜表面への細胞接着因子の量がKOで減少した結果、神経幹細胞の分化と細胞死の促進が生じ、大脳皮質と小脳の顕著な低形成が起こることを明らかにした。。 (研究3)新規のRab11結合蛋白に関する研究(研究分担者吉村を中心に行う) Rab11の細胞内での機能を解明するため新規のRab11結合蛋白RELCHを同定し、それが小胞を介さないコレステロール輸送に重要であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(研究1)Rab8結合蛋白EHBP1L1に関する研究 EHBP1L1のKOマウスでは赤血球の脱核に異常が生じ非常に重篤な貧血を呈した。現在まで、小胞輸送の脱核過程における役割は殆ど知られていなかったが、我々はEHBP1L1がlysosome, early endosomeと異なる小胞に局在すること、更にproteomicsによってEHBP1L1のKO, WTの赤血球膜の分子の違いを解析し、赤血球の浸透圧に関わる分子を同定した。これらの解析により脱核の分子機構の研究の進展につながると考えている。 (研究2)apical輸送に必須なSNAREに関する研究 syntaxin3, SNAP23は共に小胞とapical細胞膜の融合に必要なSNARE分子である。我々は小腸特異的syntaxin3 KOマウスにおける小腸上皮細胞の増殖亢進と神経特異的SNAP23 KOマウスにおいて大脳皮質や小脳の顕著な低形成という表現型を見出し、解析を行った結果以下の知見を得た。(1) syntaxin3 KOマウスの腸では増殖因子のmRNAが増加することを明らかにした。(2) SNAP23 KOマウスでは細胞膜表面への細胞接着因子の量が減少した結果、神経幹細胞の分化と細胞死の促進が生じ、大脳皮質と小脳の顕著な低形成が起こることを明らかにした。これらは一見関係のない、SNAREと細胞増殖および細胞接着の関係を示したもので、(2)については現在投稿中である。 (研究3)新規のRab11結合蛋白に関する研究 我々は新規のRab11結合蛋白RELCHを同定し、それが小胞を介さないコレステロール輸送に関与することを明らかにした。この研究はRab11の新しい機能を示唆するものでありJournal of Cell Biologyの2018年の10大論文の1つとして選ばれた。
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Strategy for Future Research Activity |
(研究1)Rab8結合蛋白EHBP1L1に関する研究 赤血球の脱核過程におけるEHBP1L1の機能を知るため、脱核過程におけるEHBP1L1やその結合分子の局在を更に詳細に調べる。赤血球の膜タンパク質でEHBP1L1 KO, WTマウス間で異なる分子XがEHBP1L1によって輸送されることが考えられるため、その分子Xの抗体を用いて分子XとEHBP1L1の細胞内局在が一致するか解析する。 (研究2)apical輸送に必須なSNAREに関する研究 (1) syntaxin3 KOマウスの腸では増殖因子のmRNAが増加することを明らかにした。その増殖因子の局在や増殖因子を切断し活性化型にする分子(ADAM)の局在を解析し、KOで増殖因子が増加する原因を解明する。(2) SNAP23 KOマウスでは細胞膜表面への細胞接着因子の量が減少した結果、神経幹細胞の分化と細胞死の促進が生じ、大脳皮質と小脳の顕著な低形成が起こることを明らかにした。この成果については現在投稿中であり、そのrevisionなどを行う。 (研究3)新規のRab11結合蛋白に関する研究 一通りの解析と発表が終了した。引き続き、他のapical, basolateralへの輸送に関与するといわれるRab、特にRab1, 6の結合蛋白を同定したため、その機能の解析を行う予定である。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] The activity of Sac1 across ER-TGN contact sites requires the four-phosphate-adaptor-protein-1.2019
Author(s)
Venditti R, Masone MC, Rega LR, Di Tullio G, Santoro M, Polishchuk E, Serrano IC, Olkkonen VM, Harada A, Medina DL, La Montagna R, De Matteis MA.
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Journal Title
J Cell Biol.
Volume: 218
Pages: 83-797
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Neuronal SIRT1 regulates macronutrient-based diet selection through FGF21 and oxytocin signalling in mice.2018
Author(s)
Matsui S, Sasaki T, Kohno D, Yaku K, Inutsuka A, Yokota-Hashimoto H, Kikuchi O, Suga T, Kobayashi M, Yamanaka A, Harada A, Nakagawa T, Onaka T, Kitamura T.
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Journal Title
Nat Commun
Volume: 9
Pages: 604
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] LRRK2 and its substrate Rab GTPases are sequentially targeted onto stressed lysosomes and maintain their homeostasis.2018
Author(s)
Eguchi T, Kuwahara T, Sakurai M, Komori T, Fujimoto T, Ito G, Yoshimura SI, Harada A, Fukuda M, Koike M, Iwatsubo T.
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A.
Volume: 115
Pages: E9115-E9124
DOI
Peer Reviewed
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