2018 Fiscal Year Annual Research Report
膜電位存在下におけるイオンチャネルの機能と構造変化の1分子同時計測
Project/Area Number |
18H02596
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
清水 啓史 福井大学, 学術研究院医学系部門, 講師 (50324158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 真幸 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (40452122)
平井 義和 京都大学, 工学研究科, 助教 (40452271)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 蛋白質 / 1分子計測 / X線回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではイオンチャネル蛋白質の1分子構造変化と1分子電流の同時計測システムを確立することを目指し、同時観測システムの開発を行う。観測チャンバーについては、脂質二重膜形成部にパターンニング可能な新素材を採用し、薄層同時計測チャンバーを作製する方針で進めてきた。観測チャンバー素材にX線透過性の高い材料を用い、試験的に表面修飾を行い、イオンチャネル蛋白質に取り付けた金ナノ結晶からのX線回折点をよいS/N比で計測した。また、同時計測のための膜形成デバイスの作製プロセスの検討を行い、膜穴形成のパターンニングプロセスを開発した。作製したデバイスに脂質二重膜を形成し、電気容量計測を行った。電気容量とデバイス材料の相関データを取得した。放射光実験については、新しいデザインの観測チャンバーを用い、観測プローブ作製法、蛋白質との反応方法を改良することによって、データ取得効率が向上した。低ノイズ観測チャンバーの作製は研究分担者である平井義和助教(京都大学)、研究協力者である田畑修教授(京都大学)の協力を得て行った。放射光施設でのX線回折実験については研究分担者である岩本真幸助教の協力を得て行った。低ノイズ観測チャンバーとそれを用いた観測データについての結果をTransducers 2019で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同時計測チャンバー開発における最大の関門であるX線透過性の高い素材を用いて脂質二重膜形成用の穴がパターン形成できるかどうか、という課題について本年度の研究で見通しがついた。X線透過性が高く、基板材料との接着性も確保できる素材で、膜形成用の穴を作製し、実際に脂質二重膜を形成してその電気容量を計測することに成功した。また、もう一つの課題である、金ナノ結晶と蛋白質の複合体から回折点が観測できる効率の向上についても、金ナノ結晶の作製法と反応方法の改良によって課題をクリアしつつある。これまでの成果の一部を国際学会(Transducers 2019)に報告できる段階となった。また、X線1分子動態計測実験の現況についてはBBA誌に報告した(in press)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は昨年度形成に成功したプロセスを組み合わせてマイクロ流路中に脂質二重膜形成用の穴を作製し、流路中での膜形成を行う。また、金ナノ結晶の分散特性を向上させるための表面改質試験を並行して行い、流路中で蛋白質―金粒子複合体の安定的に分散する条件の検討を行っていく。
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Research Products
(7 results)