2019 Fiscal Year Annual Research Report
Microglial contribution on higher order of brain function and their pathology
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18H02598
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
和氣 弘明 神戸大学, 医学研究科, 客員教授 (90455220)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミクログリア / シナプス / 血液脳関門 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミクログリアは神経細胞・シナプス・血管や他のグリア細胞と接触することで、発達期および成熟期において神経回路の形成・制御に大きく寄与することが知られている。研究代表者はこれまでミクログリアが神経活動依存的にシナプスに直接接触すること、さらに接触することでシナプス活動を修飾することを明らかにしてきた。そこで本研究では、高次脳機能に寄与し、その破綻が発達障害・精神疾患に結びつくミクログリアの機能を明らかにした。 1.ミクログリアの血液脳関門(BBB)透過性に対する寄与。私たちは全身炎症時において、ミクログリアが血管周囲に集積することを明らかにした。また炎症早期にはミクログリアは血管基底膜に浸潤し、血管内皮細胞と結合しタイトジャンクションを形成することでBBBの透過性に保護的に作用し、炎症後期にはアストロサイトの足突起を貪食することでBBBの透過性増大を引き起こすこと、さらにその分子メカニズムを明らかにした(Haruwaka et al., Nature Commun, 2019)。 2.運動学習中のミクログリアの動態変化と神経回路への寄与。運動学習においてミクログリアの動態がどのように変化し、シナプス形成もしくは除去に寄与するかは明らかではない。私たちはミクログリアの動態が運動学習に伴ってランダムなものからより定型的なものに変化し、その変化がミクログリアによるシナプス形成・除去に関与するを明らかにした。さらにこの動きの変化を阻害することで学習行動が阻害されることを示し論文を投稿した 。 3.ミクログリアによる自閉症発症に寄与する動態変化。自閉症モデルマウスミクログリアの胎生期・新生児期および成熟期の動態変化およびサイトカイン発現変化を明らかにし、この異常を自閉症発症と結びつけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定している研究に加えて、そこから新たに派生した血液脳関門の研究も進行し、研究の対象を広げ成果を上げることに成功した
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Strategy for Future Research Activity |
これまで前述の研究を行い、成果を上げていく中で、ミクログリアによる神経回路再編性にさらに着目し、研究を進めていく。現在異種間感覚可塑性におけるミクログリアの機能を検証している。ここでは視覚遮断モデルとして単眼遮蔽マウスを用いて、ヒゲ刺激による高次視覚野の応答の変化および識別能力の変化を検証する。現在までに第1次感覚野から高次視覚野への投射に着目し、順行性および逆行性標識法によって神経回路が存在することを明らかにした。またヒゲ刺激による高次視覚野の応答が単眼遮蔽マウスでは変化すること、単眼遮蔽マウスのミクログリア除去によってこの高次視覚野の応答が正常群に類似することを見出している。引き続き、ミクログリアによる異種感覚可塑性の制御機構および学習行動への寄与を明らかにしていく。
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Research Products
(9 results)