2018 Fiscal Year Annual Research Report
炎症・免疫シグナル制御に関与する2種の新規ユビキチンリガーゼの解析
Project/Area Number |
18H02619
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
徳永 文稔 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00212069)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | タンパク質 / 酵素 / 細胞 / 炎症 / ユビキチン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、ユビキチンのN末端を介する新規「直鎖状ユビキチン鎖」を生成するLUBACユビキチンリガーゼ(E3)を見出し、LUBACが炎症応答や自然・獲得免疫制御に中枢的な役割を果たすNF-κB経路を活性化することを突き止めている。最近、直鎖とK63ユビキチン鎖の混合鎖がNF-κB活性化に寄与することが報告され、LUBACと別のE3が協働的に炎症・自然免疫応答を制御することが示唆された。そこで我々は、LUBACに結合する新規E3を探索し、RING型E3のRNF126をコムギ無細胞タンパク質アレイにて、DZIP3を生化学的クロマトグラフィーと質量分析法にて同定した。初年度の研究から、RNF126はLUBACや炎症性サイトカイン刺激に伴うNF-κB活性化を抑制することを見出した。実際に、ドキシサイクリン誘導性RNF126過剰発現細胞ではNF-κB活性が抑制された。一方、RNF126-KO細胞では、炎症性サイトカイン刺激に伴うNF-κB活性化は亢進していた。RNF126によるLUBACの機能制御にはRNF126のE3活性のみならず、ユビキチン結合性のN末端領域も重要であった。一方、DZIP3はK63ユビキチン鎖を生成することでLUBACを介したNF-κB活性化を相乗的に亢進させることが明らかになった。また、内在性のDZIP3を検出する目的でラットモノクローナル抗体を独創的に作製し、論文成果として発表した(Monoclon. Antib. Immunodiagn. Immunother., 2018)。さらに、Dzip3の完全KOマウス、コンディショナルKOマウス、E3活性喪失変異体のノックインマウスを作製し、研究推進に必要な各種素材調整を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究から、今後の研究展開に必要なKO細胞の構築、独創的なモノクローナル抗体作製、遺伝子欠損マウスの作製に成功しており、今後これらを用いてin vitro、細胞、個体レベルの生理機能解析や病態との関連解析が飛躍的に進捗すると期待できるため、本研究は概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後我々は、「LUBAC―RNF126クロストークの生理機能解析」として、平成30年度の研究をさらに発展させ、RNF126のE3としての酵素学的特徴を詳らかにするとともに、LUBACとクロストークすることでNF-κB経路のみならず、MAPK経路、I型インターフェロン産生経路など広範な生体防御応答へ与える影響を解析する。さらに、構築したRnf126-KOマウスを用いて移植癌細胞の増殖や転移能、LPS誘導性敗血症への影響、乾癬誘発による皮膚疾患や自己免疫疾患を引き起こし、病態制御との連関を明らかにする。 さらに「LUBAC―DZIP3クロストークの生理機能解析」として、DZIP3のE3としての特性を生化学的に明らかにするとともに、基質タンパク質のユビキチン化(特に、直鎖-K63鎖の混合鎖形成)を解析する。また、各種臓器特異的Dzip3-KOマウスや不活性型Dzip3ノックインマウスを用いて、DZIP3の生理・病理機能と乳癌細胞転移など疾患との関連を明らかにする。
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Research Products
(25 results)