2018 Fiscal Year Annual Research Report
Neuro-pathological mechanism caused by impaired DNA damage response signaling
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18H02624
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮本 達雄 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (40452627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 伸也 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (90274133)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | DNA修復遺伝子 / ゲノム編集 / 疾患モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
高等生物は多様な外的・内的ストレスによって生じるDNA損傷を速やかに認識して、DNA修復、細胞周期停止、アポトーシスなどの細胞応答を介して遺伝情報を防護している。DNA二本鎖切断応答を担うATMシグナル経路内の遺伝子変異は、「運動失調」または「小頭症」を発症する。しかし、これらの遺伝子変異が、異なる神経病態を生み出す機構は不明な点が多い。我々は、ATM経路を構成するDNA二本鎖切断修復酵素をコードするMRE11遺伝子の変異パターンによって、「運動失調」と「小頭症」の病態が選別される臨床的事実を見出した。 本研究では、ATMシグナル経路の遺伝性疾患における神経症状の異質性が生じる機序を解明することを研究目的としている。そこで、ゲノム編集技術を用いて、MRE11遺伝子の疾患特異的変異をマウスに導入したモデル実験系を作製して細胞生物学的解析を行う。これにより、ATM依存性アポトーシス低下による変異蓄積細胞の排除不全が「運動失調」を、ATM依存性アポトーシスの亢進による細胞集団の縮小が「小頭症」を誘導することを逆遺伝学的に実証する。 2018年度には、ゲノム編集技術を用いてマウス受精卵に、小頭症を引き起こすMRE11遺伝子のスプライシング変異とA-T様疾患(A-TLD)の原因となるMRE11のA47Vミスセンス変異を導入することを試みた。その結果、各変異をもつF0世代マウスを得た。C57BL/6J野生型マウスとの交配を行い、各変異をもつF1世代マウスの樹立を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ATM経路の遺伝性疾患における神経症状の異質性が生じる機序を解明することを研究目的としている。2018年度には、本研究を推進する上で根幹となるMRE11遺伝子の疾患特異的変異をマウスの作製に取り組んだ。具体的には、ゲノム編集技術を用いてマウス受精卵に、小頭症を引き起こすMRE11遺伝子のスプライシング変異とA-T様疾患(A-TLD)の原因となるMRE11のA47Vミスセンス変異を搭載したssODNとCas9タンパク質と標的配列を認識するcRRNA/tracRNAをエレクトロポレーション法によって導入した。その結果、各変異をもつF0世代マウスを得た後、C57BL/6J野生型マウスとの交配を行い、各変異をもつF1世代マウスの樹立を計画通り実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度以降には、2018年度に作製した小頭症を引き起こすMRE11遺伝子のスプライシング変異とA-T様疾患(A-TLD)の原因となるMRE11のA47Vミスセンス変異をもつF1世代マウスを用いて、各変異のホモ個体および複合ヘテロ接合個体の獲得を行う。各変異のATMシグナル伝達に対する影響を調べる目的で、各遺伝子型のマウス胎児線維芽細胞を樹立して、放射線照射後のATMシグナル伝達依存的アポトーシスを評価する。また、各遺伝子型マウスの脳について、組織学的な解析を実施する。これにより、ATM経路の遺伝性疾患における神経症状の異質性が生じる機序の解明に繋げる。
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Research Products
(14 results)