2019 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫惹起性T細胞の分子病理学的解析と診断・治療への展開
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18H02629
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
外丸 詩野 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (20360901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 隆裕 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (50462776)
石津 明洋 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (60321957)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロテアソーム / 自己免疫疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己免疫疾患では、自己抗原の変化や免疫細胞の異常活性化等により免疫寛容の破綻が病態形成の引き金になる。近年の免疫学・臨床免疫学の進歩により、発症に関わる様々な因子が明らかになる一方、病理組織学的には糸球体腎炎や血管炎等の特徴的組織変化を除き、炎症局所に浸潤するリンパ球浸潤の程度を評価しているのが現状である。本研究では、ヒト臨床検体と新規に開発したubiquitous self-antigensを発現する遺伝子改変マウスを用い、自己免疫惹起性T細胞の分子病理学的な解析を行う。特に、病態形成に関わる自己応答性T細胞の解析を進めることで、新たな診断マーカーの検索、自己免疫疾患の診断・治療展開を目指した研究を推進する。 本年度は、開発したubiquitous self-antigensを発現する遺伝子改変マウス(USAs-Tg)を用い、USAs-Tgに野生型(WT)マウス脾細胞を移入することで生じる全身性自己免疫疾患モデルの研究を推進した。自己免疫惹起性T細胞の表面マーカーの詳細な検討を進めた結果、自己免疫惹起性CD8 T細胞はPD-1、TIM-3、LAG-3等の発現を認める一方、CTLA-4は陰性であった。がん免疫で問題となる疲弊CD8 T細胞はCTLA-4を含めた抑制性分子が陽性となることが報告されており、自己免疫惹起性CD8 T細胞はneoantigensに繰り返し反応することで生じる疲弊CD8 T細胞とは性格が異なる細胞であることを示唆する結果であった。自己免疫惹起性T細胞は繰り返し抗原に反応したメモリー細胞であり、かつ、抑制性因子の発現が弱いことが自己免疫炎症を誘導するメカニズムになっている可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己免疫惹起性CD8 T細胞の特徴的表面分子の発現パターンが明らかになった。現在、網羅的遺伝子発現解析にむけた準備に着手している状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
自己免疫惹起性CD8 T細胞に発現する新規診断マーカーについて、網羅的遺伝子発現解析を進める。また、自己免疫惹起性T細胞を誘導する転写因子等のkey moleculeを検索し、治療標的分子としての有用性を検討する。得られた結果をもとに、ヒト自己免疫疾患の病理材料(生検、剖検材料)を用い、自己応答性T細胞の検出と臨床病理学的検討を進める。
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Research Products
(17 results)