2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of functional characteristics of cytotoxic Tfh cells and their pathological significance
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18H02632
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
一宮 慎吾 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30305221)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Tfh細胞 / 細胞傷害性Tfh細胞 / CD8 / CTL活性 / IgG4関連疾患 / 扁桃 / ヒト免疫システム / 臨床検体 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は免疫難病の克服に向けて、様々な免疫関連疾患の病態とCD4(+)T細胞サブセットとの関係について研究を行っている。高度な線維化と血清IgG4高値を特徴とするIgG4関連疾患(IgG4-RD)を対象として研究を行ったところ、ミクリッツ病で摘出された顎下腺組織に局在する濾胞ヘルパーT細胞(Tfh細胞)の遺伝子発現解析から興味深い結果を得た。扁桃組織に存在するTfh細胞を対照として発現遺伝子を比較検討し、ミクリッツ病の病変部には細胞傷害活性を有するCD4(+)CD8(+) double-positive(DP)Tfh細胞が高頻度に含まれていることが明らかとなった。 2018年度は扁桃組織に含まれるDP-Tfh細胞(CD8+)とTfh細胞(CD8-)の機能解析を行い、先に得られたミクリッツ病顎下腺組織中のDP-Tfh細胞の遺伝子プロファイルについて精査した。その結果、DP-Tfh細胞に高発現する分子群として、Bob1(POU2AF1)、IFNgamma、FAS ligand(FAS-L、CD95L)、グランザイムA、グランザイムB、CD70、LAG3、FAIM2(LFG2)などが確認された。またミクリッツ病の病変組織リンパ球のFACS解析から、IgG4-RDのDP-Tfh細胞はCD8AとCD8Bの双方を発現し、さらにalpha/beta型TCRを有していた。B細胞との共培養実験から、DP-Tfh細胞はB細胞に対する活性化能はTfh細胞とは異なっている可能性が示唆された。今回の研究で明らかになったDP-Tfh細胞の機能発現分子の特殊性から、B細胞の他にHLAクラスII分子を発現するTfh細胞を含むエフェクターT細胞や樹状細胞が標的となる可能性が考えられ、研究の進捗によっては抗体産生プログラムの制御機構に新たな仕組みが見出されるかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者(一宮)は本研究課題の実施と総括を担当し、2018年度は当教室の講師(亀倉)と助教(高木)、大学院生ら(村山、池上)が本研究の実施に参加した。主として手術材料の臨床検体によるDP-Tfh細胞の研究を進め、扁桃組織より単離したリンパ球の解析からDP-Tfh細胞の機能発現分子に関する検証を行い、また共培養実験によるDP-Tfh細胞のB細胞への影響を検討する実験系を確立できた(SEB刺激やCD3/CD28刺激などによる培養実験)。B細胞サブセットに対するDP-Tfh細胞の機能的影響はTfh細胞と比較して異なっている可能性が示唆されたため、今後はクラススイッチや細胞傷害活性を含めB細胞応答の全体像が明らかにされるように検討を重ねたい。加えてマウスモデルの解析としては、CRISPR/Cas9システムを用いたBob1コンディショナル欠損マウス(Bob1(fl/fl)マウス)の樹立に成功し、CD4-Creマウスとの交配によりCD4-Cre-Bob1(fl/fl)マウスを作出した。Bob1はB細胞にも機能発現して抗原特異的な抗体産生の制御を行っているため、本研究で用いるCD4-Cre-Bob1(fl/fl)マウスはTfh細胞におけるBob1の機能を調べるために非常に有用であると考えている。CD4-Cre-Bob1(fl/fl)マウスは胚中心形成を含むB細胞の抗体産生の機構やT細胞の免疫記憶の成立に影響を与えている可能性があり、今後はさらにこのマウスを用いてDP-Tfh細胞の機能解析を試みたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、初年度と同様に研究課題申請の際にかかげた研究計画を引き続き推進してゆく。(1)細胞傷害性DP-Tfh細胞の機能活性調節機構の解析、(2)細胞傷害性DP-Tfh細胞の特異的マーカーの同定と病理組織解析、(3)細胞傷害性DP-Tfh細胞の分化誘導機構の解析、を進める。加えて、我々が最近明らかにしたIgG4-RDにおける末梢性ヘルパーT細胞(Tph細胞)の機能的意義を踏まえて(Rheumatology Advances in Practice 2019)、Tph細胞とTfh細胞、DP-Tfh細胞の関係性についても新たな検討項目として掲げられる。また(3)の分化誘導機構に関連して、扁桃組織より単離したDP-Tfh細胞とTfh細胞のTCRレパトア解析を行い、得られた結果の比較検討に基づいて、細胞の相互関係について考察を加えたいと考えている。分化誘導機構の解析に関連しては、CD4-Cre-Bob1(fl/fl)マウスを用いて解析を進めてゆきたい。この研究背景としては、ヒトとマウスのTfh細胞にBob1が高発現しているという我々が以前に報告した内容に基づいている(European Journal of Immunology 2016)。臨床材料とマウスモデルを用いた解析を通じて、DP-Tfh細胞の機能解析とともに正常組織や病変組織における分布様式を明らかにし、その機能的意義を明らかにしたい。B細胞以外に、他の免疫担当細胞や間質細胞がDP-Tfh細胞の標的となっている可能性も考えられるため検討を重ねたい。
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[Journal Article] IL-10(+) T follicular regulatory cells are associated with the pathogenesis of IgG4-related disease.2019
Author(s)
Ito F, Kamekura R, Yamamoto M, Takano K, Takaki H, Yabe H, Ikegami I, Shigehara K, Himi T, Takahashi H, Ichimiya S.
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Journal Title
Immunol Lett.
Volume: 207
Pages: 56-63
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Predicting therapeutic response in IgG4-related disease based on cluster analysis.2018
Author(s)
Yamamoto M, Takano KI, Kamekura R, Suzuki C, Tabeya T, Murakami R, Honda S, Mukai M, Nojima M, Ichimiya S, Himi T, Nakase H, Takahashi H.
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Journal Title
Immunol Med.
Volume: 41
Pages: 30-33
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Circulating PD-1(+)CXCR5(-)CD4(+) T cells underlying the immunological mechanisms of IgG4-related disease.2018
Author(s)
Kamekura R, Yamamoto M, Takano K, Yabe H, Ito F, Ikegami I, Takaki H, Shigehara K, Suzuki C, Himi T, Takahashi H, Ichimiya S.
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Journal Title
Rheumatology Advances in Practice
Volume: 2
Pages: 1-7
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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