2019 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内ウイルス検知とストレス応答に共通する分子制御基盤の解析
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18H02660
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
米山 光俊 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (40260335)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ウイルス感染 / ストレス応答 / RNA結合タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脊椎動物における非自己RNAセンサーであるRIG-I-like受容体(RLR)によるウイルス感染検知と、細胞ストレス応答における自己RNA機能制御が密接に関連していることに注目し、両者に共通して機能する宿主RNA結合タンパク質(RBP)の同定と機能解析を通じて、自己と非自己のRNA認識を介した細胞機能制御および生体防御の分子制御基盤を解明することを目指している。 令和元年度には、RLRによって生成が抑制されるmicroRNAを介した遺伝子発現制御により、感染細胞の細胞死を増強するという新たな抗ウイルス作用について報告した。また、RLRの下流アダプター分子であるIPS-1の自己活性化を抑制するアミノ酸領域を明らかにするなど、RLR/IPS-1を介した抗ウイルス応答制御の分子機構を明らかにした。また、前年度までの解析で同定している宿主mRNAの翻訳制御に関与することが知られる因子Aについて、遺伝子破壊マウス(KOマウス)におけるウイルス感染感受性を解析したところ、本遺伝子を欠失することによりウイルス感受性が増大することが観察され、この分子が宿主抗ウイルス免疫応答に重要な役割を担っていることが強く示唆された。また、同分子がRLRと会合することで機能している可能性を示唆する結果を得ており、RLRと協調してウイルスRNA認識に関与している可能性があると考えられた。 一方で、ウイルス感染と小胞体(ER)ストレスとで共通して誘導される因子Bを見出し、培養細胞レベルでの解析からそれらの抗ウイルス応答への関与を示唆する結果を得ており、培養細胞レベルでの機能解析とKOマウス作成を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
翻訳関連因子Aの生理的な機能解析では、KOマウスへのウイルス感染実験から、抗ウイルス応答において正の制御因子として機能している結果が得られており、研究期間中に成果発表が期待できる状況にある。また、新規のストレス応答性因子Bを同定し、その機能解析を開始しており、おおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
注目する因子Aについてのマウスでの生理機能の解析では、個体内での抗ウイルス活性をウイルス量とIFN産生から検討すると共に、感染細胞内でのストレス顆粒(SG)形成を解析することで、当該分子の生体防御における役割を明らかにする。また、同分子による抗ウイルスシグナル制御メカニズムを分子レベルで明らかにするため、RLRと協調してウイルスRNA認識に関与している可能性および翻訳制御因子としてタンパク質発現を介してIFN誘導に関与している可能性の両面から解析する。 一方で、新たに見出した因子Bに関しては、培養細胞レベルでの強制発現や発現抑制実験による機能解析を実施して抗ウイルス応答への関与を検討すると共に、作成中のKOマウスを用いた生理的な解析へとつなげる。また、本分子は、ウイルス感染応答とERストレス応答によって共通して誘導されることから、その発現誘導機構を検討し、二つのシグナル経路による抗ウイルス応答制御機構を明らかにし、両シグナルに共通する細胞機能制御ネットワークを明らかにする。
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Research Products
(6 results)