2019 Fiscal Year Annual Research Report
通常型樹状細胞のIL-22RA2による上皮組織恒常性維持に対する制御機構の解明
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18H02670
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
佐藤 克明 宮崎大学, 医学部, 教授 (40301147)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / サイトカイン / 上皮細胞 / 炎症 / 免疫疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、2. WTマウスを対照として恒常的cDCs特異的消失マウス、一過性CD103+cDCs特異的消失マウス、IL-22RA2欠損マウスにおけるアレルギー喘息の病勢、病態、炎症/免疫応答を比較検討した。結果を以下に示す。2-1)肺組織と所属リンパ節において、IL-22とIL-22RA2の発現が認められた。2-2) WTマウスではアレルギー喘息発症後、気管支肺胞洗浄液中の浸潤白血球数の増加が認められた。一方、WTマウスと比較して、恒常的cDCs特異的消失マウスと一過性CD103+cDCs特異的消失マウスでは気管支肺胞洗浄液中の浸潤白血球数の増加の減少が認められたが、IL-22RA2欠損マウスでは増加が認められた。2-3) WTマウスではアレルギー喘息発症後、肺における気道炎症、白血球浸潤、上皮組織肥厚、分泌細胞(杯細胞)の過形成および粘液貯留の増加が認められた。一方、WTマウスと比較して、恒常的cDCs特異的消失マウスと一過性CD103+cDCs特異的消失マウスではこれらアレルギー病態の緩和が認められたが、IL-22RA2欠損マウスでは増悪が認められた。2-4) WTマウスではアレルギー喘息発症後、肺気道抵抗性が認められた。一方、WTマウスと比較して、恒常的cDCs特異的消失マウスと一過性CD103+cDCs特異的消失マウスでは肺気道抵抗性の低下が認められたが、IL-22RA2欠損マウスでは増加が認められた。従って、アレルギー喘息の病態形成におけるCD103+cDCsのIL-22RA2を介した呼吸器上皮細胞機能に対する制御機構およびその制御に基づく免疫応答調節が解明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に提案した年度計画以上に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では2.アレルギー喘息の病態形成におけるCD103+cDCsのIL-22RA2を介した呼吸器上皮細胞機能に対する制御機構およびその制御に基づく免疫応答調節について、2-5) サイトカイン/ケモカイン発現解析:肺組織のサイトカイン、ケモカインの発現について定量的PCR法により解析する。2-6) OVA特異的抗体とサイトカインの産生解析:血清と気管支肺胞洗浄液におけるOVA特異的抗体とサイトカインの産生をELISA法により解析する。2-7) OVA特異的T細胞応答解析:OVAを抗原としたWT cDCsとの共培養による所属リンパ節CD4+T細胞の増殖能を計測すると同時にそのサイトカイン産生量をELISA法により解析する。また、フローサイトメトリー法にてTH2細胞の生成を解析する。3. 可溶型IL-22RA2-ヒトIgFcキメラ分子の生物活性評価について、IL-22による角化細胞の増殖および細胞周期促進に対する作製済みの可溶型IL-22RA2-ヒトIgFcキメラ分子の抑制効果について、ヒトIgFcキメラ分子を対照とするフローサイトメトリー法にて評価する。また、IL-22による角化細胞の抗菌ペプチドの遺伝子発現亢進及び角化細胞最終分化マーカーの遺伝子発現抑制に対する可溶型IL-22RA2-ヒトIgFcキメラ分子の阻害効果について定量的PCR法により解析する。4. 尋常性乾癬とアレルギー喘息に対するIL-22RA2の防御効果の解明について、尋常性乾癬やアレルギー喘息を発症したWTマウスに対照群にはヒトIgFcキメラ分子、実験群には可溶型IL-22RA2-ヒトIgFcキメラ分子を投与し、上述の1)2)の検討項目に従い、病勢防御効果とともに病理組織、炎症/免疫応答を比較検討する。
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