2018 Fiscal Year Annual Research Report
病変部位免疫環境のリモデリングを誘導する新規Treg制御法の開発
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18H02673
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
関谷 高史 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 免疫応答修飾研究室長 (80519207)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 免疫学 / 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タンパク質ライブラリーを新規手法により作製し、炎症性疾患の病変部位で制御性T細胞(Treg)の機能抑制を引き起こしている因子を同定することや、機能抑制を受けているTregの賦活化を誘導する因子を探索することを目的としている。 この新規ライブラリ(in frame directed recombinant protein library: IFDRライブラリ)は、分泌シグナルの下流にcDNAを挿入し、その下流でGFPとIgGのFc部位に連結させるものであり、機能を持つタンパク分子の割合を飛躍的に高めたものである。IFDRライブラリは先行研究で、スモールスケールでの作製に成功しており、30年度の研究では、まず、そのライブラリスケールへの拡大を試みた。その結果、スケールアップにより、ライブラリ遺伝子のサイレンシングによる著明な発現低下が見られたため、下記に示す④つのストラテジーにより改善を試みた。 ①分泌シグナルペプチドの改良:スモールスケールでの発現では、RGMB分子のシグナルペプチドを使用していたが、さらに強力なIgkシグナルペプチドへの置換を行った。 ②細胞株の改良:スモールスケールでの発現ではNIH3T3細胞を使用していたが、分泌タンパク作製に実績のあるCHO細胞への変更を行った。CHO細胞は、そのままではレトロウイルスへの感染効率が低いため、レトロウイルス受容体を強制発現させた株を樹立した。 ③薬剤耐性遺伝子の変更:スモールスケールでの発現ではPuromycinでライブラリーDNA陽性細胞のセレクションと維持を行っていたが、よりサイレンシングに耐性の高いことが報告されているZeocin耐性遺伝子への置換を行った。 以上、3点の改良により、IFDRライブラリーのスケールアップに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」の項で記述した、IFDRライブラリーのスケールアップは滞りなく進むと予測していたが、上述の通り、発現低下などの問題が生じ、トラブルシューティングに時間がかかった。当初の予定ではIFDRライブラリーを用いたスクリーニングに着手している計画であったため、順調に進展しているとの評価には至らない。しかし、トラブルは解決し、スクリーニングに着手する段階に達したため、やや遅れていると評価が妥当であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、前年度の研究でスケールアップに成功したIFDRを用い、病変部位Tregの機能抑制を引き起こす因子、および機能抑制を受けているTregの賦活化因子のスクリーニングを行う。スクリーニングに用いる細胞のソースとして、IFNg-GFPおよびFoxp3-GFPレポーターマウスを入手したため、これらを最大限に活用し、ハイスループットなスクリーニングを試みる。 本年度後半からは、スクリーニングにより同定された因子の機能解析および、in vivo疾患モデルでの検討を、それぞれ以下に示す方策により行う。 ①スクリーニングにより同定された因子の機能解析:スクリーニングで見出された因子の機能を、過剰発現実験、ノックダウン実験、拮抗ペプチドや中和抗体を用いた実験などにより、分子・細胞レベルで検討する。また、本ライブラリはFc融合型のプラットフォームであるため、そのままProtein Gビーズによるpull-down,質量分析に応用することができる。見出された分子の中から3種類程選択し、相互作用因子を同定する。 ②in vivo疾患モデルでの検討:マウス疾患モデルを用い、Fc融合リコンビナントタンパク、拮抗ペプチド、中和抗体の移入等により、因子の活性をin vivoで正負に制御し、その治療効果を検討する。疾患モデルはEAE,IBDモデル、および腫瘍モデルを用い、それぞれの因子の炎症反応の抑制能または抗腫瘍免疫の賦活化能を検討する。
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Research Products
(7 results)