2020 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanisms and preventive/therapeutic targets of colon cancer metastasis
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18H02686
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
青木 正博 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 分野長 (60362464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三城 恵美 (佐藤恵美) 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, リサーチレジデント (00455544)
梶野 リエ 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 研究員 (20633184)
小島 康 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 主任研究員 (30464217)
藤下 晃章 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 主任研究員 (50511870)
佐久間 圭一朗 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, ユニット長 (90402891)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大腸がん / 転移 / マウスモデル / マルチオミクス解析 / プロテオーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
①HNRNPLLの下流標的分子および発現制御機構の解明 HNRNPLLによる選択的スプライシングの産物として前年度までに同定した、CTNND1の アイソフォーム3Aとアイソフォーム3ABの機能について検討した。それぞれのアイソフォームを個別にノックアウトした大腸がん細胞株を用いたマトリゲル浸潤能アッセイで、前者のノックアウトによってのみ浸潤能が抑制された。免疫沈降の結果から、アイソフォーム3Aと細胞骨格タンパクの相互作用が浸潤能に関与する可能性が示されたため、次年度に詳細な解析を継続する。HNRNPLLの転写調節機構については、SP1とSP3がHNRNPLLの基本転写量を規定し、MYBがHNRNPLLの転写を促進することを見出した。上皮間葉転換(epithelial-mesenchymal transition)誘導下では、MYBの発現減少を介してHNRNPLLの転写が抑制される。この研究成果について近く論文投稿する予定である。 ②新規大腸がん自然転移モデルを用いたマルチオミクス解析による転移機構の解明 我々が作出した大腸がん自然転移モデルマウス(villin-CreERT2;Ctnnb+/loxEX3;Kras+/LSLG12D;Trp53 lox/lox;Smad4lox/lox複合変異マウス: VCKPSマウス)の腸がん原発巣および肝転移巣を用いたRNAseq・プロテオーム解析の結果を検討し、核関連タンパクや幹細胞関連分子の増加傾向を認めた。VCKPS大腸がん細胞株で各遺伝子をノックアウトし、肝転移形成能を評価したところ、幹細胞マーカーや関連分子のノックアウトにより転移形成能が著しく低下したことから、幹細胞性と転移能との深い関係が示唆された。また、TGF-β経路が幹細胞関連分子の発現を制御することも見出し、その他の幹細胞性制御機構についても詳しく検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HNRNPLLにより選択的スプライシングの調節を受けるCTNND1 (p120 cateninをコード)について、アイソフォーム3ABと3Aとをそれぞれ特異的にノックアウトした大腸がん細胞株を用いた解析により、機能の違いを見出すことができた。特にアイソフォーム3Aについては大腸がん細胞の浸潤能への関与を示唆する成果を得ている。HNRNPLLの発現調節機構についても関与する転写因子が分かり、近く論文投稿できる見通しがついた。 また、VCKPSマウスに発症する大腸がん原発巣、転移巣のプロテオーム解析、RNA-seq解析から転移関連分子候補を同定することができ、VCKPS細胞を用いた幹細胞性・転移形成能に関与する候補を絞り込むプラットフォームを用いて、いくつかの有望な分子・シグナル経路を同定しつつある。さらに、幹細胞関連分子の発現制御機構についても解明が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
HNRNPLLにより選択的スプライシングの調節を受けるCTNND1 (p120 cateninをコード)のアイソフォーム3ABと3Aの機能の違いについて、さらに詳細な検討を行う。特にアイソフォーム3Aは細胞運動とかかわる特徴的なタンパク群との結合を介して、大腸がん細胞の浸潤能に関与する可能性が示されているため、詳細なメカニズムを解明し、大腸がん臨床検体を用いた検証も実施する。また、HNRNPLLの発現調節については、上皮間葉転換に伴う転写抑制のメカニズムを中心に論文をまとめ、査読結果に応じて実験を進める。 新規大腸がん自然転移モデル(VCKPSマウス)については、これまでに同定した幹細胞性に関与する転移関連分子について、大腸がん臨床検体の免疫染色による検証を行う。また、VCKPS細胞の幹細胞性や転移形成能を制御するシグナル経路についても詳細に検討する。さらに昨年度実施できなかったVCKPSマウスの原発巣・肝転移巣を用いたメタボローム解析を行い、転移に伴う代謝変化についても解析する。 これらの解析から転移性大腸がんの治療標的分子の同定を目指す。
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Research Products
(5 results)