2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms for the establishment of serum miRNA profiles through inter-cellular communication.
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18H02703
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
土屋 直人 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (30322712)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | miRNA / 細胞外小胞 / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん(悪性新生物)は、我が国の死因第1位であり、その罹患率及び死亡率の低減化は、保健医療行政上の極めて重要な課題である。また、小児及び若年成人に発症率が高い悪性腫瘍は、根治を目標とした個別化医療の確立が必須であり、それを科学的に担保する根拠・知見の蓄積が極めて重要である。次世代を担う年代の悪性腫瘍による死亡率の低減化を目指した研究を精力的に実施することは、我々の責務である。骨軟部腫瘍は小児から若年成人世代に罹患者が多く、悪性腫瘍(いわゆる肉腫)は、転移性であり予後不良である。希少がんであるが故に臨床検体を用いた解析には限界があり、個別化医療、すなわち診断マーカーから分子標的薬の開発も遅れている。当研究室では、肉腫の血清miRNAプロファイルで肉腫の層別が可能であることを示した。本研究では、なぜそのような細胞外miRNAプロファイルが成立するか、そのメカニズムの解明に挑む。 がん特異的血中分泌miRNAのプロファイルは、がん早期ステージの段階から確立されており、がん細胞が分泌することでは説明できない。即ち、がん発生というEmergencyを生体が示すための応答反応であり、細胞間情報伝達の最終型として成立すると考察できる。申請者らは、骨軟部腫瘍の悪性症例のみを特異的に鑑別可能な血清miRNAを同定した。本研究では、この成果を基に、患者由来肉腫細胞株や正常免疫細胞等を用いて、肉腫細胞から血清miRNAプロファイルの成立までの細胞間情報伝達の流れを理解し、それを介在する分子・miRNA・細胞群を同定し、生体応答システムとしての分泌miRNAプロファイルの生物学的意義を明らかにする。本研究から、がん診断法の開発に向けて、科学的根拠を担保する成果の提示が期待される。また、がん周囲の微小環境を標的とした新たな治療法開発に向けた新規の標的分子の同定が強く期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肉腫細胞株が分泌する細胞外miRNAを網羅的に解析し、約20種類のmiRNAが細胞外へと積極的に分泌されており、それらは肉腫培養環境によってその分泌量が変化することがわかった。これらの発現ベクターを構築し、ヒト単球細胞株THP-1に感染させて、その表現型について検討した。その結果、ある種の細胞外miRNAを取り込んだ単球細胞はマクロファージ様の細胞への分化が誘導される可能性を見出した。特に、炎症の抑制マクロファージであるM2マクロファージへの分化が誘導されることが強く示唆された。このmiRNAを導入した単球細胞の遺伝子発現プロファイルを作成した。予想通り、複数のサイトカインの発現亢進が認められた。さらに、当該miRNAの標的遺伝子の探索もマイクロアレイによって実施し、複数の転写因子を候補として同定した。これらは、発現が低下することで細胞の分化が誘導されることがしられている。しかし、単球の分化との関連はあまりわかっていない。同時に、当該miRNAを発現させた肉腫細胞とTHP-1細胞株、さらにはヒト単球細胞と共培養することで、当該miRNAが、伝達されていることが強く示唆された。これらの結果から、肉腫細胞が分泌するmiRNAを取り込んだ周囲の細胞の表現型(細胞の特性)が大きく変わること、これに起因して、腫瘍細胞周辺の正常細胞が分泌するmiRNAが変化する可能性が強く示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果から、悪性の肉腫細胞が分泌するmiRNAは、周辺の非がん細胞へと取り込まれることにより、例えば、血球細胞なら分化を誘導することによって、腫瘍微小環境をがん促進的に変化させることが可能であると考えられる。肉腫由来のmiRNAを受け取り、細胞の特性が変化した周辺細胞が分泌するmiRNAの種類も変化すると考えられる。約20種類ほどのmiRNAが、肉腫細胞株から共通して分泌されている可能性があり、これらが、非腫瘍細胞に取り込まれた際に生じる変化も解析する必要がある。一方、多くのmiRNAの機能を統合的に解析するためには、特に影響の強い特定miRNAの機能を十分に知る必要もある。本年度は、3種類の細胞外miRNAについて、単球細胞株に及ぼす影響を検討し、それらのうちの一つは、マクロファージ様の細胞へと分化を誘導することがわかってきた。本年度は単球細胞に着目しているが、腫瘍微小環境へと浸潤する細胞は他にも多くあり、それらが受ける影響によっても肉腫患者の血清miRNAの特徴的プロファイルの成立が大きな影響を受けると考えられる。来年度は、単球細胞の分化誘導に関して、その詳細を解析するとともに、分化した細胞が分泌する細胞外miRNAについても検討を加える。さらに、他の間質細胞(繊維芽細胞等)にも 細胞外miRNAを取り込ませ、どの様な表現型の変化を誘導するかについても検討を加える。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] A serum microRNA classifier for the diagnosis of sarcomas of various histological subtypes.2019
Author(s)
Asano N, Matsuzaki J, Ichikawa M, Kawauchi J, Takizawa S, Aoki Y, Sakamoto H, Yoshida A, Kobayashi E, Tanzawa Y, Nakayama R, Morioka H, Matsumoto M, Nakamura M, Kondo T, Kato K, Tsuchiya N, Kawai A, Ochiya T
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 10
Pages: 1299
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] A Nucleolar Stress-Specific p53-miR-101 Molecular Circuit Functions as an Intrinsic Tumor-Suppressor Network.2018
Author(s)
Fujiwara Y, Saito M, Robles AI, Nishida M, Takeshita F, Watanabe M, Ochiya T, Yokota J, Kohno T, Harris CC, Tsuchiya N.
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Journal Title
EBioMedicine
Volume: 33
Pages: 33-48
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Development of diagnostic method for bone and soft tissue sarcomas of various histological subtypes using serum microRNA profiles.2018
Author(s)
Naofumi Asano, Juntaro Matsuzaki, Junpei Kawauchi, Satoko Takizawa, Eisuke Kobayashi, Robert Nakayama, Masaya Nakamura, Morio Matsumoto, Tadashi Kondo, Ken Kato, Naoto Tsuchiya, Akira Kawai, Takahiro Ochiya.
Organizer
ASCO annual meeting 2018
Int'l Joint Research
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