2019 Fiscal Year Annual Research Report
Involvement of lnc162 on sensitivity to DNA demethylating agents
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18H02704
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
牛島 俊和 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (90232818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 奈緒子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (30611090)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | DNA脱メチル化治療 / 効果予測マーカー / lncRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA脱メチル化治療は血液腫瘍で実用化され、米国では固形腫瘍での臨床研究も盛んである。一方、効果予測マーカーで信頼性が高いものはなく、DNA脱メチル化剤の作用機序にも不明の点が数多く残る。 申請者は、胃がん細胞株を処理した際の高感受性と関連するlong-noncoding RNA linc00162 (lnc162)を同定した。lnc162の過剰発現は5-aza-dCに対する感受性を増強、ノックダウンは低下させることも確認した。本研究では、lnc162の高発現が5-aza-dCに対する感受性を増強する分子機構を解明する。 前年までに、lnc162の相互作用の対象として、スプライシングに関与するHNRNPH1タンパクが同定された。そこで当該年度では、HNRNPH1の5-aza-dC感受性への関与を明らかにするために、20個の胃がん細胞株におけるHNRNPH1発現をWestern blottingにより解析した。HNRNPH1は、胃がん細胞株において恒常的に発現しており、5-aza-dC感受性との直接的な相関は観察されなかった。しかしながら、HNRNPH1のノックダウン細胞株では細胞増殖が低下すること、lnc162の高発現による5-aza-dC感受性増強がキャンセルされることも確認した。また、HNRNPH1はlnc162の5'-領域で結合することをRNA pull-down assayで明らかにした。さらに、これらの培養細胞での評価に加え、nudeマウスへの胃がん細胞株移植系を用いて、lnc162の過剰発現により5-aza-dC治療への感受性が増加することも見出した。これらの研究結果を、原著論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標は、lnc162と相互作用するタンパク質HNRNPH1とDNA脱メチル化剤感受性の相関をしらべることであった。Western blottingからHNRNPH1は恒常的に発現していること、ノックダウンにより細胞増殖の低下が誘導されること、HNRNPH1ノックダウン細胞にlnc162高発現を行うと5-aza-dC感受性の増加がキャンセルされることを明らかにした。また、RNA pull-down assayによりHNRNPH1はlnc162の5'-領域で結合することも示した。さらに、培養細胞での評価に加え、nudeマウスへの胃がん細胞株移植系を用いて、lnc162の過剰発現により5-aza-dC治療への感受性が増加することも見出した。当該年度中に、これらの結果をまとめて原著論文として発表することができたので、研究は当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)lnc162と相互作用するDNAの解析 本年度も引き続きlnc162の研究を行う。lnc162のcisの調節機構の有無を解析するために、lnc162 (21q22.3)近傍のITGB2, FAM207A, ADARB1について、lnc162のノックダウン(既にsiRNAの動作確認済み)、及び、過剰発現細胞株(MKN74, AGSについて樹立済み)での発現変化を定量する。これらの変化が認められた場合、局所ゲノムと相互作用している可能性がある。
(2)他の固形腫瘍におけるDNA脱メチル化作用機序の解明 これまでは、lnc162を介したDNA脱メチル化剤の作用機序の解明として、胃がんを用いて研究を行ってきた。本年度は、この機構が他の固形腫瘍においても普遍的であるか否かを解明する。当該研究者自身によって、神経芽腫・骨肉腫に対する5-aza-dC治療の有効性が示されている。そこで、新たに脂肪肉腫等を標的として研究を行う。まずは、培養細胞を用いて5-aza-dC治療への感受性を明らかにし、lnc162の発現との相関を解析する。また、nudeマウスへの細胞株移植系を用いた解析も行う。
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