2018 Fiscal Year Annual Research Report
マウス大脳皮質視覚野における投射特異的なサブネットワークによる情報処理機構の解明
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18H02706
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小坂田 文隆 名古屋大学, 創薬科学研究科, 准教授 (60455334)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 領野特異性 / 並列階層的情報処理 / 視覚 / ウイルスベクター / 多光子励起 / 同期 / 相互相関解析 / 多焦点面同時イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳皮質には機能局在があり、領野毎に特定の機能を有する。大脳皮質視覚野では高次視覚野毎に異なる視覚属性を処理する。大脳皮質の神経回路は、入力された感覚情報を選り分け、異なる情報を異なる脳領域へ並列的に送出する働きを持つ。送出される情報は、情報の送出を担う投射細胞においてシナプス入力の統合処理により生み出される。つまり、投射細胞のシナプス前細胞群の情報統合により、投射ターゲットに固有の視覚応答性を生み出され、その情報を特定の投射部位に伝達すると考えられる。しかし、V1の神経回路がどのような演算により異なる領野へ新しい並列的な出力を生み出すのかは不明である。そこで本研究では、マウス一次視覚野をモデルとして、異なる視覚情報を異なる高次視覚野に伝達する役割を担う微小神経回路の構造と演算機構を明らかにすることを目的とする。 高次視覚野であるALに投射するV1ニューロンは空間周波数が低く早い動きの視覚情報を、PMに投射するV1ニューロンは空間周波数の高い遅い動きの視覚情報を伝達する。そこでALに投射するV1ニューロンとPMに投射するV1ニューロンの機能を評価する目的で、それら投射ニューロンに逆行性に緑色カルシウム感受性蛍光タンパク質であるGCaMP6を導入した。V1の第2/3層および第5層に分布するGCaMP発現投射ニューロンの視覚刺激に対する応答を2光子顕微鏡イメージングにより評価したところ、それらは方位選択性応答や方向選択性応答を示した。続いて、第2/3層ニューロンと第5層ニューロンの対応関係を明らかにするために、第2/3層および第5層の多焦点面同時イメージングを行った。相互相関を解析することで、第2/3層内の細胞の結合、第5層内の細胞の結合、第2/3層細胞と第5層細胞の層間の結合を評価することができた。以上の結果より、投射特異的に相互結合細胞群の存在が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験系の構築も完了し、計画通りであるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ウイルスベクターでサブネットワークを解剖学的に評価し、イメージングで機能的なシナプス接続の推定を行っている。今後は、動物の個体数を増やし、再現性の確認を行う。続いて、標識した神経回路の解剖学的知見と生理学的知見との対応付けを行う。さらに、投射先の領野を増やし、投射毎のサブネットワークの構造と機能の違いを評価する。
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Research Products
(13 results)