2018 Fiscal Year Annual Research Report
免疫性神経疾患における脂質2分子の複合体に対する自己抗体の解析と病因的意義の解明
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18H02745
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
楠 進 近畿大学, 医学部, 教授 (90195438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 基 近畿大学, 医学部, 講師 (40460860)
宮本 勝一 近畿大学, 医学部, 准教授 (50388526)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 免疫性神経疾患 / 自己抗体 / 糖脂質 / 脂質複合体 / ガングリオシド |
Outline of Annual Research Achievements |
近年われわれは、単独の糖脂質ではなく二種類の糖脂質の混合抗原を特異的に認識する抗体をギラン・バレー症候群(GBS)患者血中に見出し糖脂質複合体抗体と名付けた。この抗体は異なる糖鎖が相互作用して形成するエピトープを認識すると考えられる。本研究では、糖脂質のみでなく糖脂質とリン脂質やコレステロールの混合抗原に特異的な自己抗体を、リピッドアレイ法を用いて網羅的に検討し、一方で人工的に合成した糖脂質のhomodimerに対する免疫性神経疾患患者血中抗体の反応性も検討する。今年度は、Miller Fisher症候群(MFS)、眼球運動麻痺を伴うGBS(GBS-OP)、Bickerstaff脳幹脳炎(BBE)について、GQ1bを含む複合体に対する抗体が高率に陽性であることを確認した。またGBS-OPでは、GD1bを含む複合体に対する抗体活性も同時に検出されることが多く、そのような症例は重症例が多いことを発表した。さらにBBEに焦点を当てて検討したところ、GQ1bを含む複合体に対する抗体陽性例は、抗体陰性例と比較して、呼吸器感染が先行することが多く、感覚障害を伴う頻度が高く、脳脊髄液の細胞数や蛋白レベルが低値であり、頭部MRI等での異常を認める頻度が低く、意識障害の改善が早いという特徴を有し、比較的均一な病態であることが示唆された。一方、GD1bに対するIgG抗体陽性血清を用いて、GD1b dimerに対する抗体活性を検討したところ、症例によりGD1b dimerに対してGD1bそのものに対するよりも抗体活性が増強する例と減弱する例があることがわかった。また、リン脂質やコレステロールも含めたリピッドアレイ法による検討では、従来法で抗体活性が検出されなかった慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーや多発性硬化症で抗体活性が検出される例があり、さらに検討をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂質複合体に対する抗体測定、および糖脂質のhomodimerに対する抗体活性の検討は、いずれも順調にすすんでおり、標的抗原の候補が見出されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、見出された新たな抗体について陽性例の臨床的特徴を解析して、病因的意義の解明につなげる予定である。また標的抗原を用いた動物モデル作成も計画している。
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Research Products
(11 results)