2019 Fiscal Year Annual Research Report
Population based study of mental disorders by nitric oxide system variants.
Project/Area Number |
18H02752
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
上野 修一 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (80232768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 康玄 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00268749)
三宅 吉博 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (50330246)
伊賀 淳一 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (70363140)
大澤 春彦 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90294800)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 認知症 / 一酸化窒素 / メチルアルギニン / AGXT2 / DDAH / 集団ベース解析 / モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症では脳循環低下や糖代謝障害が関与する事が示されており、脳血管性認知症だけでなくアルツハイマー型認知症でも脳血管病態はその発症に重要であると考えられる。一酸化窒素(NO)は、全身の血管内皮細胞から作られ、血圧のみならず、腎機能や循環器機能など各臓器に直接関係する気体であることがわかっており、また、脂質代謝にも関係すると示されている。中枢神経においては、循環や糖代謝に関わるほか、直接神経伝達物質として機能するため、我々は、認知症の発症や進行に大きな影響を与える重要な因子であると考えている。メチルアルギニンは、NO合成酵素を阻害し生体内NO量を決定するため、メチルアルギニン量の決定因子、アラニン:グリオキシル酸アミノ基転移酵素2(AGXT2)とジメチルアルギニンジメチルアミノ水酸化酵素1(DDAH1)は、認知症に関わることが予想される。我々は、これまで日本人の約3割がAGXT2活性を欠損することを遺伝子多型解析で証明し、また、血管障害と関連することを示した。また、脳にAGXT2遺伝子が発現していることも示しているが、その詳細な分布まではわかっていなかった。この研究では、これらNOに関係する遺伝子が認知症に関係していることを示すために、AGXT2欠損モデルマウスを用い、脳でのAgxt2活性の分布を調べることおよび脳血管への影響を調べることを予定し、加えて、愛媛県内の3つの集団ベースを用い、血圧、脂質異常、認知機能とAGXT2とDDAH1遺伝子の与える影響を調べることとした。当該年度では、3つの集団ベースの対象者から、情報および血液の採取および遺伝子DNAの抽出、一部AGXT2多型解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、Agxt2欠損マウスを作成し維持しているが、モデルマウスの交配が難しいこと、また、脳でのAgxt2を用いたin situの組織解析が進んでいないことから少し遅れている。これらについては、モデルマウスは一旦、ヘテロ接合体を作成し、改めて欠損マウスを作成することとし、組織解析については、血管の変化が見られることから網膜血管に注目し、組織解析を行うことを予定している。3つの集団ベース解析については、DNAの抽出が進んでおり、今度の1年でAGXT2およびDDAH1遺伝子の関連解析が終了する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Agxt2欠損マウスについては、ホモ接合体を用い、野生型とAgxt2欠損マウスを比較しながら、網膜での血管性の変化を調べると同時に、脳での遺伝子発現の分布を組織学的だけでなく、Westernブロットでの解析やreal time PCR法を用いた解析により調べる予定である。3つの集団ベースにおいては、食習慣、血圧、脂質などの血液データ、認知機能解析結果、画像の解析結果などと、AGXT2およびDDAH1遺伝子多型との相関解析を行い、最終報告とする予定で、国際雑誌への投稿を予定している。
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Research Products
(1 results)