2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of radiation therapy technique based on next imaging modality
Project/Area Number |
18H02765
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松尾 政之 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40377669)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兵藤 文紀 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (10380693)
森 崇 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (40402218)
富田 弘之 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50509510)
五島 聡 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90402205)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 次世代放射線治療 / 分子イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代放射線治療を目指し、がん組織のレドックス環境を標的とした新規分子イメージングと融合した放射線治療技術の開発を目的とする。悪性グリオーマは全グリオーマの約半数を占める頭蓋内で最も悪性な腫瘍群で、その浸潤性と高い増殖能や治療抵抗性により、治療に難渋する疾患の一つである。特に、小児脳幹グリオーマは、きわめて予後不良な腫瘍であり、現在のところ唯一効果が期待される放射線治療の効果判定にはCTやMRIなどの解剖学的画像が適用されるが、腫瘍サイズの変化には数か月を要するため、時間的損失となる可能性がある。すなわち、放射線照射後数秒から数時間以内に起きる腫瘍内レドックス代謝変動を制御・可視化できれば、腫瘍形態に依存しない代謝を指標とする難治がんの超早期画像診断が期待できる。本研究では、腫瘍内の酸素・レドックス代謝を可視化する次世代の分子イメージング技術と放射線治療技術を融合し、難治がんモデルとして小児脳幹グリオーマを対象とし、「次世代画像診断に基づく放射線治療技術の開発」を目指す。 これまでに、臨床における(a)悪性グリオーマの拡散強調画像やMRS (magnetic resonance spectroscopy)などを用いたMRI・メチオニンPETの画像診断などの解析、および(b)画像誘導放射線治療を利用した定位放射線治療や強度変調放射線治療(intensity modulated radiation therapy:IMRT)などの高精度放射線治療を詳細に検討し、画像診断および放射線治療の実験プロトコールの作成を行った。また、腫瘍細胞種に依存してプローブの浸透度等の検討が必要となるため、マウス種、腫瘍細胞を用い、脳腫瘍の撮像に最適化したプローブと撮像シーケンス、脳高感度計測用局所検出器を開発した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
① 放射線治療と代謝イメージング法の開発:小児脳幹グリオーマ移植マウスに対して最適な放射線治療を施行後、放射線治療応答の評価のため、DNP-MRI を用いた非侵襲動的レドックス代謝イメージングの撮像・解析を行い、放射線治療効果を予測する早期画像診断方法の確立した。脳腫瘍モデルにおけるレドックス代謝イメージングを行い、脳腫瘍のステージとレドックス代謝との相関関係を明らかにする。また、放射線治療効果判定のため、DNP-MRI を用いた非侵襲動的レドックス代謝イメージングを撮像し、担がんモデルマウスにおいて放射線治療前後のレドックス代謝を経日的に可視化し、放射線にともなうレドックス変動の動的変化を可視化することが可能であった。 ② 小児脳幹グリオーマモデル検証:低酸素、血管新生関連遺伝子群を中心に解析、その変動遺伝子のon, offを施行し、遺伝子変動の解析を開始した。 ③ 大動物への展開:MRIイメージング実験を行い、レドックスプローブ(CarbamoylPROXYL)のブタ各臓器における基礎代謝速度を検討し、マウスを用いた研究においては放射線照射を各分担者と連携し開始した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度:低酸素、血管新生関連遺伝子群を中心に解析し、その変動遺伝子のon, offを試みる。ヒストンH3F3Aはエピゲノム修飾遺伝子の一つで有り、ポリコーム遺伝子群に作用することが報告されている。特に、低酸素状態の変動(酸素濃度の変化)に応じて、エピゲノムを網羅的に解析し、K27M変異型と野生型グリア細胞腫瘍での遺伝子変動に注目する。また、脳腫瘍もしくは自然発症膵癌モデルマウスにおける放射線治療について代表研究者・分担研究者と連携し行う。大動物を用いた実験においては、脳腫瘍計測を指向し、血液脳関門透過性プローブ(MethoxycarbonylPROXYL)を投与した脳実質のレドックス代謝イメージングを行う。
|