2019 Fiscal Year Annual Research Report
統計呼吸動体モデルを軸とした寡分割高精度放射線治療技術の開発
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18H02766
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 光宏 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30584255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 恵 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (10362526)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 医学物理学 / 統計呼吸動体モデル / 時空間画像データ / 適応放射線治療 / 非侵襲呼吸性移動対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに開発した統計学的手法によるマージン算定アルゴリズムを用いて,リスク臓器に対するマージンサイズを算定した.2009年2月から2019年4月の間に息止めIMRT/VMATを施行した膵がん症例のうち,PTV,胃及び十二指腸の輪郭が入力されている120症例を対象とした.まず,臓器変形の空間的な偏りのみを評価するため,各臓器の位置ずれは除去した.次に,胃及び十二指腸の平均形状モデルを作成し,各症例の臓器表面からの法線ベクトル及び変形量を算出した.各臓器の法線ベクトルに対して固定値R(mm)で拡張した領域cPRV(R)を設定し,平均形状モデルにおいてcPRV(R)との体積差が1%未満となる法線ベクトルの変形量を,臓器存在確率P(%)を用いて定義した.最後に,leave-one-out交差検証を用いて統計学的PRVであるsPRV(P)を生成し,PTVと各PRVとのオーバーラップ率を算出した.胃及び十二指腸におけるR-P関係はそれぞれP=50+50×(0.79/(1+46.61exp(-0.35×R)))及びP=50+50×(0.90/(1+44.63exp(-0.39×R)))で表現できた.胃においてR=10 mmの場合,PTVとsPRV(P)の平均オーバーラップ率はcPRV(10)よりも10%小さく,患者の78.3% (94症例)でオーバーラップ率が低減した.一方,十二指腸においてはPTVとsPRV(P)の平均オーバーラップ率はcPRV(R)よりも大きく, PTV周辺の空間的な偏りを過小評価している可能性が示唆された.胃及び十二指腸はPTV周辺の空間的な変形の偏りが大きいため,統計学的手法を用いたPRVマージンの設定が有用であることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに研究を実施したため
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Strategy for Future Research Activity |
統計呼吸動体モデルに基づいて臓器の形状を変形させたCT画像を多数生成し,放射線治療計画装置に取り込む.その後,作成済みの放射線治療計画を変形CT画像上で再計算する.作成済み線量分布と再計算後の線量分布を放射線治療品質保証で採用されているガンマ解析等で評価し,放射線治療計画の堅牢性について許容・介入レベルを設ける. 統計呼吸動体モデルと治療当日に撮影された画像を組み合わせて治療当日の四次元画像を生成し,治療当日の線量分布の計算を試みる.呼吸性移動を伴う病変に対する線量計算においては,臓器に対する吸収線量の時間変化を考慮しなければならない.そこで,治療当日の線量分布計算法には独自開発した四次元線量分布再構成法を適用する.放射線治療計画時と治療当日の線量分布をガンマ解析等で評価し,翌日以降の照射続行可否の意思決定を支援するフレームワークの構築に着手する.
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