2018 Fiscal Year Annual Research Report
集学的な機能ゲノミクスによる希少MODYの成因探索
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18H02779
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
堀川 幸男 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (10323370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 真由美 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (10293565)
飯塚 勝美 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (40431712)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | MODY / インスリン分泌不全 / 細胞骨格分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はMODY1~6遺伝子に変異を有さない発端者2名について全ゲノムシークエンスを実施し、3,614,470~3,663,511の点変異を検出した。また、構造変異として、26~32のCNV、1,488~2,907の大規模挿入、3,553~4,939の大規模欠失を検出した。RNA-seqのデータから遺伝子発現との関連が得られ、十分な実験データの根拠を持つ転写調節因子結合領域の多型・変異は39,433ヶ所認められており、全ゲノムシークエンスから得られた多型・変異のうち、約8割が転写調節因子結合領域に位置していた。また、エンハンサー領域の機能異常に起因する疾患要因として既報のMODY1~6遺伝子発現を制御する可能性も高いため、既知MODY遺伝子におけるTAD領域を精査したところ、MODY 2, 3とそれ以外で異なり多様性が認められた。また、レギュローム以外の分子遺伝学のマルチ戦略の統合により細胞骨格分子であるMYO5Aを有力な新規MODY候補遺伝子として同定し報告した。 一方、超高感度質量分析器に代表者が同定した世界初の2型糖尿病感受性遺伝子カルパイン10(CAPN10)を供して解析し、微小管結合蛋白(MAP1B)が標的基質であることを見出した。CAPN10欠失マウスを用いた解析の結果、CAPN10の発現の低下によりMAP1Bの切断が障害され、微小管機能とアクチン再構築の障害が起こり、インスリン分泌顆粒の細胞内輸送の異常が生じることを見出し報告した。興味深いことに、MAP1Bと先のMODY研究で獲得したMYO5Aは細胞骨格における重要なパートナーであり、インスリン分泌において協調している可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MODY特異的エンハンサー異常をより正確に補足するためには、RNA-seqによるMODY患者それぞれの遺伝子発現と全ゲノムシークエンスからの網羅的多型・変異情報およびHi-Cデータを合わせた統合解析が今後必要であると考えられるが、研究開始から2年度内に少なくとも1種類の新規MODY遺伝子をネットワーク単位で獲得することを目標としていたため、1年度で細胞骨格に関連するMODY候補遺伝子MYO5Aを獲得できたことは評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
インスリン分泌不全という臨床像が類似する未知MODYの原因遺伝子も、「膵島機能ネットワーク」で既知MODYメジャー遺伝子1-6に近い位置にあると推察できる。そこで、今後ISHで検出された膵島の高発現遺伝子やCGH解析や4C法により獲得された候補遺伝子も連関アルゴリズム解析に供する。そして、6種類の既知MODY分子から直近の候補遺伝子から順にMODY症例で検討することが、原因遺伝子同定への最短アプローチと考えている。同時に、今年度は、膵島由来の培養細胞系やモデル動物を用い、コード蛋白のインスリン分泌における生理的役割を解析する。更に、罹患症例の臨床データの検討と家系調査により、臨床診断に有用である特徴的な病態の探索を進める。
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