2019 Fiscal Year Annual Research Report
鰓弓・側板中胚葉内の心臓前駆細胞発生を制御するエピジェネティック分子機構の解明
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18H02786
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
白井 学 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, オープンイノベーションセンター, 室長 (70294121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 真樹 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, その他, 室長 (70552024)
笹井 紀明 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (80391960)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 心臓前駆細胞 / エピジェネティック因子 / 先天性心疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:鰓弓・側板中胚葉に存在する心臓前駆細胞の発生を制御する転写因子、エピジェネティック因子を含む複雑なネットワークを解きほぐし、新たなヒト先天性心疾患の原因解明を行う分子基盤を構築する。 研究実績: 1.胎令9.5日のマウス胚、鰓弓(第2鰓弓~第6鰓弓)・側板中胚葉におけるsingle cell RNA-seq(scRNA-seq)解析の結果、一部の細胞でIsl1を発現し、Phc1を発現していない細胞を確認できた。この結果は、免疫組織学的解析結果と一致している。これまでのPhc1 KOマウス胚における解析から、一部の心臓前駆細胞の増殖・分化に関与する遺伝子の発現パターンが胚の側板中胚葉から心臓流出路において変化している結果が得られており、これらから移動中の一部の心臓前駆細胞の分化や運命決定機構がPhc1を含むポリコームタンパク質複合体により制御されていることを示している。 2.前年度は、胎令9.5日のマウス胚、鰓弓(第2鰓弓~第6鰓弓)・側板中胚葉におけるscRNA-seq解析を行ったが、本年度はscRNA-seq解析を行う細胞の対象を拡張し、胎令8.5日のマウス胚における鰓弓・側板中胚葉、胎令9.5日のマウス胚、鰓弓(第1鰓弓~第6鰓弓)から細胞を準備してscRNA-seq解析を行い、解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プロテオーム解析機器の故障により、現在は修理が完了するまで解析を停止している。また、国立循環器病研究センター移転および、今回の新型コロナの影響により、十分な数のPhc1 KOマウスを確保できず、KOマウスにおける解析に遅延が生じている。今後も動物実験に対する新型コロナの影響は大きいと予想される。これらを回避するために、本年度はscRNA-seq解析の対象とする細胞を増やし、より詳細なデータを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
1.マウス胚鰓弓・側板中胚葉における詳細な免疫組織学的解析、トランスクリプトーム解析:引き続き様々なステージのマウス胚鰓弓・側板中胚葉における詳細な免疫組織学的解析、single-cell RNA-seqを含む網羅的なトランスクリプトーム解析を行い、心臓前駆細胞の分化機構とエピジェネティック因子の関連を明らかにする。 2.ニワトリ胚における詳細な免疫組織学的解析:引き続き詳細な免疫組織学的解析を行う。ニワトリ胚のPhc1陰性心臓前駆細胞において、Phc1を強制発現させて、心臓前駆細胞の分化制御機構における、エピジェネティック因子の役割を解明する。 3.抗Phc1抗体を用いたChIP-seq解析:昨年度行えなかった解析として、マウス胚、心臓前駆細胞において、抗Phc1抗体を用いたChIP-seq解析を行う。これにより、心臓前駆細胞におけるPhc1の標的遺伝子を特定する。 4.プロテオーム解析によるPhc1結合タンパク質の同定: Phc1結合タンパク質の同定を行う。
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Research Products
(1 results)