2018 Fiscal Year Annual Research Report
Basic study of novel adrenomedullin derivatives to develop as a pharmaceutical drug of cardiovascular diseases
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18H02810
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
北村 和雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (50204912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 基生 宮崎大学, 医学部, 特任教授 (30796983)
永田 さやか 宮崎大学, 医学部, 助教 (00452920)
鶴田 敏博 宮崎大学, 医学部, 准教授 (10389570)
加藤 丈司 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (20274780)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アドレノメデュリン(AM) / PEG化AM / 高血圧症 / 心不全 / 非臨床試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
アドレノメデュリン(AM)は本研究代表者が発見した強力な降圧作用を有した循環調節に重要な生理活性ペプチドである。その後、循環器疾患や炎症性疾患ではAMの産生が増加しAMが抗炎症・循環器保護因子として作用していることを見出した。しかしAMはペプチドであるため、半減期が短く治療薬として臨床応用するためには経静脈持続投与が必要であり、循環器疾患治療薬として実用化されるのが困難であった。最近、我々は月1~2回の皮下投与で循環器疾患や炎症性疾患の治療薬として実用化可能な新規AM誘導体(PEG化AM誘導体)を発明して、特許申請を行った。本研究ではPEG化AM誘導体を循環器疾患治療薬として臨床応用するための、基礎的研究を行い、本研究が終了後に開発治験を開始できるようにしたい。具体的には次の3つのサブテーマで研究を推進する。 ①PEG化AM誘導体の各種細胞への作用と作用機序の検討 PEG化AM誘導体はAMと同様の受容体を介して、同様の作用機序で効果を発揮すると考えられるが、PEG化されたことでAM受容体に対する作用や、各種細胞に対する作用がAMとは異なっている可能性がある。AM受容体を安定発現している細胞や各種培養細胞に対するAMとPEG化AM誘導体の作用と作用機序を明確にする。 ②PEG化AM誘導体の血行動態に対する効果 PEG化AM誘導体をラットに投与した時の血行動態を明らかにする。また、各種循環調節因子への影響についても明らかにする。 ③循環器疾患モデル動物でのPEG化AM誘導体の有用性 PEG化AM誘導体の治療薬としてターゲットになる疾患としては、治療抵抗性高血圧症、肺高血圧症、慢性心不全、脳血管性認知症等を想定しているが、これらの疾患のモデル動物を用いた実験的治療を行うことで薬効を証明し、薬効を発揮する機序について明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規アドレノメデュリン(AM)誘導体であるPEG化AMを用いて、循環器疾患治療薬としての有用性を検討するため基礎的研究を推進している。 1型AM受容体(CLR/RAMP2複合体)と2型AM受容体(CLR/RAMP3複合体)を安定発現している細胞株を用いて、AMや各種のPEG化AM誘導体のcAMP増加活性を検討した。PEGの分子量が大きくなるにしたがいcAMP増加活性は低下したが、5%程度までであり、PEG化することで血中での半減期が著明に延長することを考慮すると有用性が高いことが判明した。各種の各種培養細胞(血管内皮、血管平滑筋、心筋、メサンギウム細胞など)にPEG化AM誘導体を作用させた時のcAMP増加活性はAMと同様な結果であることが判明した。 当教室で確立しているラットを用いたテレメトリーシステムを利用してAM(PEG化されてないもの)とPEG化AM誘導体をラットに投与したときの血行動態を観察した。投与方法は臨床で実施予定の皮下と経静脈投与の単回投与で実施する。臨床での治療薬として推定される5~25nmol/kg/回では有意な降圧を示さず、最大投与量は125nmol/kg/回dreamえ降圧が認められた。 12週のSHR-SPを用いPEG化AM誘導体を量を変えて、2週間に1回皮下投与し、8週間血圧の推移を観察したところ、正常血圧ラットでは2)に示したように25nmol/kg/回で有意な降圧が認められなかったが、SHR-SPでは降圧効果が認められた。また、心臓、腎臓、大血管および脳組織を摘出して病理学的に臓器障害を評価したところ、高血圧による臓器障害を改善していた。 これらの結果から、PEG化AMは高血圧治療薬として有望であることが明らかになり、正常血圧に対してはあまり血圧を下げないことから安全性が高いことが判明した。以上のことからおおむね順調に進展していると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の研究を継続して発展させるが、2019年度はつぎのような研究も推進する ①PEG化AM誘導体の各種細胞への作用と作用機序の検討 1型AM受容体(CLR/RAMP2複合体)と2型AM受容体(CLR/RAMP3複合体)を安定発現している細胞株を用い、AMやPEG化AM誘導体のcAMP増加活性Ca++増加活性を見る。2019年度はCGRP受容体(CLR/RAMP1複合体)についても同様に検討する。また、PEG化AM誘導体のうちAMのリング構造からN末に延長したペプチドの長さを変えたものも検討する。また、受容体とのinternalizationについても明確にしたい ②PEG化AM誘導体の血行動態に対する効果 2018年度に引き続き、当教室で確立しているラットを用いたテレメトリーシステムを利用して各種のPEG化AM誘導体を投与したときの血行動態をモニターする。血圧、心拍数以外にも行動量や体温などを無麻酔、無拘束の条件で長期間(2週間以上)モニターすることができる。さらに、投与後に血液を経時的に採取し、PEG化AM誘導体血中濃度と血行動態変化や各種の循環パラメータとの関連をみる ③循環器疾患モデル動物でのPEG化AM誘導体の有用性 2019年度は心不全モデルであるDOCA食塩高血圧ラットを用い、PEG化AMの用量や投与法を検討し、臨床応用する際の最適な方法を明らかにする。具体的には、12週のDOCA食塩高血圧ラットを用い、PEG化AM誘導体を量を変えて、2週間に1回皮下投与し、8週間血圧の推移を観察する。8週後に尿蛋白量測定と心エコーによる血行動態の評価を行った後に、採血し各種循環ホルモン(レニン、アルドステロン、ANP、BNP他)を定量する。また、心臓、腎臓、大血管および脳組織を摘出して病理学的に臓器障害を評価する。PEG化AM誘導体の降圧効果と心不全抑制効果を明確にできる
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Research Products
(3 results)