2018 Fiscal Year Annual Research Report
心臓線維芽細胞由来血管新生抑制因子Lypd-1の発現機能解析による心疾患病態解明
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18H02813
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
松浦 勝久 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (70433993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 信奈子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (30342851)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | LYPD1 / 血管新生抑制因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
Lypd1の血管形成抑制作用の機能部位を同定するために、野生型および変異型リコンビナントLypd1を調製し、血管内皮細胞のマトリゲルアッセイを用いて、Lypd1の機能部位を検証した。ある特定領域のアミノ酸配列を変えた変異型リコンビナントLypd1では、血管内皮細胞の管腔形成抑制効果が認められないことを確認した。また既知であるLypd6の構造をもとに、Lypd1タンパクの立体構造予測を行った。 Lypd1の上流領域をプロモーター領域と仮定し、結合する可能性のある転写調節因子および結合箇所をデータベースより抽出し、さらに皮膚線維芽細胞や間葉系幹細胞に比して心臓線維芽細胞で発現の高い因子である条件をもとに、Lypd1の発現制御候補遺伝子を6つ選定した。定量的RT-PCRで発現比較を行い、2つの候補分子を同定した。そのうちの一つは転写因子であり、心臓線維芽細胞における同転写因子の発現をsiRNAで抑制すると、心臓線維芽細胞におけるLypd1の発現が上昇することが明らかとなった。 リコンビナントLypd1添加の有無の血管内皮細胞2群についてRNAseq発現解析を行い、Lypd1による血管内皮細胞のシグナル伝達分子群を同定した。 野生型ラットの左冠動脈を結紮し、心筋梗塞モデルを作成した。梗塞後ラット心臓におけるLypd1の経時的発現変化を定量的RT-PCRで評価したところ、梗塞1日目では健常心臓に比して有意なLypd1の発現低下を認めたものの、その後は徐々に発現レベルは上昇し、梗塞8日目には、健常心臓と同等レベルまで回復した。 Lypd1ノックアウトラット左前下行枝を結紮し、心筋梗塞モデルを作成した。梗塞後4週間の時点で、野生型ラット心筋梗塞モデルに比して有意な左室拡張末期径の拡大抑制が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所期の研究計画に準じて研究が遂行できている。また、Lypd1の機能部位の同定およびLypd1の発現調節因子の同定など、研究遂行による成果が着実に認められることから、おおむね順調に進展している、と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
Lypd-1の発現が低い皮膚線維芽細胞に野生型および変異型Lypd-1を発現させたのち、血管内皮細胞と共培養して血管形成抑制機能を評価・比較することによって、同定したLypd-1の機能部位について検証する。 候補転写調節因子の組織・臓器特異性を定量的RT-PCRで検証するとともに、心臓線維芽細胞への上流転写因子発現抑制によるLypd-1発現抑制および元来Lypd-1の発現の低い皮膚線維芽細胞への上流転写因子強制発現によるLypd-1発現上昇を確認する。 Protein microarrayを用いて、recombinant LYPD1を相互作用する分子を探索する。 候補分子の遺伝子発現やリン酸化等の細胞内シグナル伝達の変動を定量RT-PCR、western blotにより解析し血管形成抑制に関わるシグナル伝達分子を同定する。 Lypd-1ノックアウトおよび野生型ラットを用いて心筋梗塞モデルを作製し、心臓超音波やカテーテル検査により心機能を評価するとともに、梗塞サイズ、線維化、血管数を定量的に評価してin vivoにおけるLypd-1の血管形成抑制効果およびその抑制による心保護効果を検証する。
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Research Products
(4 results)