2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms for effectiveness of hypo-methylating agent for TP53-mutated MDS
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18H02836
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南谷 泰仁 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (60451811)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / アザシチジン / 有効性メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
TP53変異陽性MDSは独特な遺伝子プロファイルときわめて不良な予後を特徴とする疾患単位であり、現在有効な治療法がない。脱メチル化剤がTP53陽性MDSに対して臨床的な反応性とクローンの縮小をもたらすことが示されたがその効果は一過性でありほぼ全例短期間で再発する。そこで、本研究ではTP53陽性MDSに対する脱メチル化剤の有効性・抵抗性獲得のメカニズムの解明を行う。 検体の収集および有効性との相関解析:国内外より収集したアザシチジンで治療したMDS症例を395症例の収集が収集でき、全例で標的シークエンスの施行をおこない、ゲノムプロファイルと臨床経過のデータ収集を終了した。うちTP53陽性症例は95例であった。うち285例は治療前後の検体も収集した。これらの検体および臨床情報を用いて、本年度は有効性と相関するゲノム異常のプロファイルを解析した。その結果、TP53陽性群・陰性群では生存の延長に寄与する臨床的反応性が異なること、さらに生存と相関するゲノム異常および臨床的因子が異なることが示された。特にTP53陰性群では遺伝子Xが相関するほか、neural networkおよびsupport vector machineを用いた機械学習を用いる事で、外部コホートについても精度93%で有効性を予測する事が可能であった。さらに本研究と並行して進めている「TP53陽性MDSに対するアザシチジン治療を検討する前向き臨床試:AMED, UMIN000027789」では、仮登録49例、TP53陽性症例19例の登録があり、治療コース毎の生細胞を収集した。 オミクス解析:これまでに収集した検体のうち、RNA-seq 24例、メチル化解析を16例で行った。これは今後解析症例数を増加し、オミクス解析を進めていく予定である。 PDXマウスの樹立:3系統の細胞を用いてPDXの樹立を試みたが生着を認めていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アザシチジンで治療した臨床検体の収集に関しては、当初予定していた国内の検体(JALSG-MDS研究)のみならず、Karolinska研究所で治療された検体および国内の臨床シークエンス事業で収集した検体も収集できたため、約400例というこれまでの最大のコホートでの検証が可能となった。これまでのところ、ゲノム異常に基づく解析をほぼ終了しており、有効に関する特徴を検証する事が化膿であった。さらに前向き臨床試験の検体収集も順調に進行しており、計画していた解析が可能な臨床検体の収集を行う事が出来た。さらにこれらの検体を含めて、RNA-seq 24例、メチル化解析を16例、全ゲノム解析を85例で行い、driver遺伝子異常以外のオミクス解析を進めている。 PDXマウスの樹立については現在までに成功していない。骨髄異形成症候群のPDXについては、他の遺伝子異常が陽性であるマウスの場合は樹立が成功しており、遺伝子異常の特性におる原因が考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
アザシチジン有効性と相関する因子の探索:収集した検体を用いて、driver遺伝子異常以外のオミクス解析を進める。具体的には現在進めている全ゲノム解析、RNA-seq、メチル化解析の症例数を増やし、有効症例に生じているオミクス変化を観察して抵抗性症例との差異を明らかにする。さらに二次抵抗性獲得症例のオミクスプロファイルの変化についての検討も進め、抵抗性獲得のメカニズムの解明を進める。 本年度の研究にておいてTP53変異陰性症例におけるアザシチジンの有効性に遺伝子Xの変異が相関するという新たな知見を得ることができ、臨床的因子と併せて明確な特徴を有する事が可能であった。そこで、研究対象をTP53陰性症例にも広げて、今後のオミクス解析を行う方針とする。 PDXマウスの樹立については、生着率を高めるためには新生仔マウスの使用、皮下移植などの手法を試みる。
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Research Products
(5 results)